Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

『日本語大博物館』を読む

紀田順一郎『日本語大博物館』ジャストシステム、1994

林昌樹『調べる技術』を読んでいたら、日本語の排列規則について「そもそも日本語の表記体系が複雑怪奇──重層性と言うべきか──なのが原因と思うが、それについては、紀田順一郎『日本語大博物館:悪魔の文字と闘った人々』(ちくま学芸文庫、2001)あたりを読まれたい」とありました(p116)。そこで早速この本を図書館から借りてくると、なるほどたくさんの人々が悪魔の文字と闘っていたことがわかりました。その中の諸橋『大漢和辞典』の原字を作った石井茂吉に強く興味を引かれ、『杉浦康平と写植の時代』も参照してウィキペディアの項目に加筆しておきました。

もう一つ、カナ文字運動のところで商社の伊藤忠の社長第2代伊藤忠兵衛がこの運動に関わっていて、1969年に出した『伊藤忠商事100年』はカナ文字を使っている、という記述にオッと声が出ました。渋沢社史データベースに載せたこの社史、確かにカナ表記でした。伊藤忠商事(株)『伊藤忠商事100年』(1969.10)

なお、借りたのは文庫本でなく、ジャストシステム刊1994年の初版で、ワープロソフト「一太郎」を作ったジャストシステムというのに感激。なんでもジャストシステムの雑誌『Just Moai』連載記事に加筆したものとのことでした。

日本語大博物館 : 悪魔の文字と闘った人々 / 紀田順一郎
徳島 : ジャストシステム, 1994.1
311p ; 22cm
目次:
第1章 幕末活字顚末記:活字に憑かれた人々…1
第2章 活字との密約:“荘厳なる森”に魅せられた人々…21
第3章 起死回生の夢:昭和活字文化の70年…41
第4章 ことばの海に漂う:諸橋轍次大槻文彦…61
第5章 カナに生き、カナに死す:カナ文字運動の理想と現実…81
第6章 ローマ字国字論の目ざしたもの:田中館愛橘田丸卓郎と日本のローマ字社…105
第7章 日本語改造法案:人口文字に賭けた人々…129
第8章 漢字廃止論VS.漢字万歳論:国語表記論争の過去と現在…157
第9章 縦のものを横にする:横に書いた日本語の歴史…177
第10章 営々と刻まれた一点一画:ガリ版文化の80年…201
第11章 5万字を創った人:石井茂吉と写植の創世記…225
第12章 毛筆から活字へ:邦文タイプライター開発夜話…245
第13章 日本語の工学的征服:ワープロ第1号機の誕生まで…265
第14章 1億人のデータベース:電話帳の過去・現在・未来…285
参考文献・取材協力…304
あとがき…306
索引…311

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