Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

磯田道史『天災から日本史を読みなおす』を読む 『武士の家計簿』で一躍名をあげた磯田道史さんの、『天災から日本史を読みなおす:先人に学ぶ防災』(中公新書、2014)を読んだ。4年も前の著作だが全く知らなかったのは不覚であった。もっともこれは朝日新…

清水眞砂子さんの講演録を読む

東京こども図書館発行『こどもとしょかん』156号、巻頭の黒沢克朗さんは2歳のお孫さんにスカイプで絵本を読んであげてました。楽しんでくれてはいるものの、直接会って感じるぬくもりが無いのが残念でしたが、4歳になって孫の家に泊まった折、怖い話をせが…

加藤丈夫『「漫画少年」物語』

国立公文書館館長の加藤丈夫先生が富士電機株式会社会長時代に、講談社の編集者だった父上加藤謙一氏の仕事をまとめられた本。昨日入手してページを開いたらあまりに面白く、一気に読んでしまいました。 占領期の雑誌創刊、手塚治虫との交流、親友・宇野親美…

今年のお節(2017年大晦日)

一の重:栗きんとん、黒豆、紅白蒲鉾、昆布巻き、伊達巻 二の重:酢だこ、コハダの粟漬け、小鯛の笹漬け、ローストビーフ、ブロッコリー 三の重:お煮しめ(里芋、手綱こんにゃく、ゴボウ、京人参、レンコン、干しシイタケ、きぬさや) 今年もお煮しめ以外は…

カズオ・イシグロの本

前々からエッセイなど読んで気になっていたカズオ・イシグロ、ノーベル文学賞をとって一気に話題になりましたが、小説を初めて読んでみました。まず『日の名残り』、そして『遠い山なみの光』。 1989年に出て英国ブッカー賞受賞の『日の名残り』は、貴族に仕…

ドイツの友人とトリスタン

書類の山を整理していたら出てきた手紙があり、思い出した2000年秋の出来事です。 ドイツの友人 / 門倉百合子 先日の昼下がり、Sさんと名乗る女性から電話がかかった。突然電話を入れた非礼を詫びた後、彼女はJ.マイヤーの友人の婚約者だと自己紹介した。J.…

茨城史料ネットの洗浄作業に参加

2017年9月14日(木)、茨城史料ネット主催の「関東・東北豪雨被災資料集中洗浄・修復作業」に参加した。豪雨といっても今年でなく2015年9月ので、被災した江戸時代からの民間文書が対象だった。会場は茨城大学水戸キャンパスなので、午前中品川から日暮里(9…

たからもの

退職に際していただいたもの 立派なアレンジメント、オレンジとピンク イタリア産の上等な赤ワイン 松徳硝子(株)製の「うすはり」ワイングラス タイガーの軽い真空マグボトル 絹こりこりタオル 泉屋タオル店特製エプロン(一句付) メッセージカード どれ…

大連演奏旅行余話

2017年9月、大連国際音楽倶楽部第23回演奏会に参加し、1日から5日まで大連へ旅行しました。今回私は5回目の参加で、現地の方々といっしょにチャイコフスキーの『悲愴』などを演奏してきました。毎年のことながら様々な困難を乗り越えての本番は、全員力を出…

三番瀬

1999年夏の思い出。インターネットはまだ広まってなくて、Wikipediaもなかった頃です。 三番瀬 / 門倉百合子 私:夏休みの自由研究、どうするの? 次男(5年生):またどっか遠くに行きたいな(去年は羽田まで自転車で往復した) 私:どっかいきたいとこある…

エリザベス・アボット『砂糖の歴史』

出版されてすぐ入手したものの読む機会を逸していたこの砂糖の本、奄美大島の歴史に触れてサトウキビに俄然興味がわき、一気に読んでしまいました。カナダの歴史学者が綴った紀元前から始まる甘味料の足跡ですが、本書の大半は大航海時代以降の奴隷制の歴史…

「発達障害をめぐる19の疑問」

児童精神科医の知人が雑誌に執筆。ジャパンマシニスト社の『Chio』(ち・お)という雑誌の114号(2017年1月)で、「発達障害をめぐる19の疑問」に6人の児童精神科医・心理士が答える特集です。目次は次の通りで、とてもわかりやすい内容でした。 特集・こど…

島尾敏雄と奄美図書館(続)

島尾敏雄とヤポネシアについて調べるために借りた本『島尾敏雄とミホ : 沖縄・九州』の中に、島尾と図書館に関する文が二つ載っていました。 作家活動と図書館運営 : 奄美大島における島尾敏雄の場合 / 早野喜久江 1.はじめに 2.島尾敏雄が目指した図書館 …

島尾敏雄と奄美図書館

小説家・島尾敏雄(1917-1986)は横浜生まれですが、戦時中特攻隊員として奄美諸島の加計呂麻島で出陣を待つ間に終戦となりました。島で出会ったミホと結婚し、神戸や東京での作家生活の後再び奄美に渡って約20年間暮らしました。その間1958年から1975年まで…

今年のお節(2016年大晦日)

一の重:栗きんとん、黒豆、蒲鉾、昆布巻き(サケ、ニシンの二種) 二の重:酢だこ、コハダの粟漬け、酢キャベツとソーセージ 三の重:お煮しめ(里芋、手綱こんにゃく、ゴボウ、京人参、レンコン、干しシイタケ、きぬさや) 去年は喪中でお節を作りませんで…

『難民問題』

墓田桂著『難民問題:イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題』2016.9.25(中公新書 2394) 目次 はしがき 第1章 難民とはなにか 1 歴史の中で その紀元/ダマスカスからニュー・イングランドまで/ナンセン高等弁務官の任命/国際的な人道活動の萌芽/戦間…

『大分県の百年』

『大分県の百年』豊田寛三ほか著 山川出版社 1986 大分に旅行するに当たり、近くの図書館で借りた本。付箋をつけた場所をメモ。 p28:松方正義、養育館、生産会所 p76:富岡製糸場に女工派遣 p80:福沢諭吉 p105:大分銀行 p142:佐賀関精錬所 p160:図書館…

松居友『手をつなごうよ』

松居友さんの本、教文館で入手して一気に読んでしまいました。1998年にフィリピンのミンダナオ島に渡り、2002年にMCL(ミンダナオ子ども図書館)を設立されてからの15年の軌跡。ずっと「ミンダナオの風」という機関誌を送っていただいていたので概要は知って…

ベルリンの国立図書館の自筆楽譜

ベルリンの国立図書館の自筆楽譜 ウンター・デン・リンデンに面したプロイセン国立図書館には、ドイツ国内の手稿本や美術書などの貴重なコレクションが集められていた。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンといった有名な作曲家たちの自筆楽譜もそのひとつ…

第九を歌う

ひょんなことからこの8月に第九を歌うことになりました。パートはソプラノ。オーケストラのビオラパートでは何回も弾いたことがあるのですが、歌うのは初めてです。4月から週一回の練習に通い出したところ、すばらしいヴォイストレーナーの方の指導にぞっ…

末盛千枝子『人生に大切なことはすべて絵本から教わった』(現代企画室、2010)

絵本編集者の末盛千枝子さんの本。代官山の会員制図書室ヒルサイドライブラリーで、2008年から翌年にかけ10回にわたり行われたセミナーの記録を編集したもの。毎回のテーマに沿った絵本が何冊も紹介され、上質なブックトークを聴いている心地よさだった。さ…

夏蜜柑

ベランダの夏蜜柑の鉢植え、カイガラムシとスス病で葉っぱがすっかり黒く汚れていたのですが、歯ブラシで一枚ずつ掃除したら見違えるほどきれいになりました。歯ブラシでゴシゴシこすっても葉が落ちたり破れたりすることはなく、柑橘類のいい香りがぷーんと…

アンドリッチ『ドリナの橋』

イヴォ・アンドリッチ著、松谷健二訳『ドリナの橋』(恒文社、1972)を読んだ。バルカン半島のセルビアとボスニアの間を流れるドリナ川に16世紀に架けられた石の橋の、4世紀のわたる物語である。16世紀当時はオスマン・トルコ帝国の時代で、ボスニア出身でオ…

作山宗久さんの本(2)「記録管理システム」

作山宗久さんが執筆された、記録管理に関連する著作・翻訳の発行年順リストです。 記録管理システム / ウィリアム・ベネドン著、作山宗久訳(勁草書房、1988)284p 文書のライフサイクル / 作山宗久(法政大学出版局、1995)296p 文書管理と法務 / 抜山勇, …

作山宗久さんの本(1)「青春」という名の詩

作山宗久さんが執筆された、サムエル・ウルマン(Samuel Ulman, 1840-1924)とその詩に関する著作・翻訳の発行年順リストです。内容としては1~2、3、4~7の3つのグループに分けられます。 「青春」という名の詩 : 幻の詩人サムエル・ウルマン / 宇野収, 作…

大江健三郎の本

2010年に芥川也寸志(1925-1989)のオペラ『ヒロシマのオルフェ』(1960/67)を演奏した際、テキストの著者である大江健三郎(1935-)の本を初めて手に取り読んでみた。芥川賞をとった『飼育』など初期の短編いくつかと、最新作の『水死』。T.S.エリオットに…

中野京子『怖い絵』と堀田善衛『美しきもの見し人は』

中野京子『怖い絵』を読み終わる。ヨオロッパの文化遺産を久しぶりに堪能。参考文献をみたら堀田善衛『美しきもの見し人は』が入っていて、おもわずうなずいてしまった。堀田の本は1975年の刷を持っているので、たぶんその時期に読んだ。その後朝日選書の文…

間所沙織年譜

2009年に横須賀美術館で開催された展覧会のカタログに載っていた年譜から抜粋してみました。作品は最初のいくつかを掲載したもので、主要作品というわけではありません。 西暦 年譜 展覧会出品作品より 1924 5月24日愛知県に生まれる。父・山田台一は職業軍…

藤田嗣治と間所沙織

東京国立近代美術館の所蔵作品展「MOMATコレクション 特集:誰がためにたたかう?」を観に行きました。最初の部屋にあった原田直次郎『騎龍観音』(1890)はさすがの迫力でしたが、おめあての藤田嗣治『アッツ島玉砕』(1943)のこれでもかという筆致には圧倒…

エリオットと大江健三郎

T.S.エリオットに出会ったのは、独文科3年生の時だった。英文学にすこし興味がわき、とった講義にエリオットの『荒地』がでてきた。出だしの「4月は最も残酷な月」(April is the cruellest month)は有名だが、難解な詩でほとんど理解できなかった。ただ長い…