Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

2019東北行【第2日】名取から小高へ

5月4日(土)ゆりあげ港朝市

翌日は仙台駅7:26の電車で4駅目の名取へ。8:00発の乗合バス「なとりん号」で15分ほど、震災メモリアル公園下車、目の前に閖上港が広がります。地元の方の車で駐車場はいっぱい、朝市が大いににぎわっていました。震災後カナダ政府の支援で、カナダ産木材により建設されたメイプル館にて、新鮮な海鮮丼の朝食をいただきました。

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閖上 震災メモリアル公園のモニュメント
海産物を購入してバス停へ戻り、震災メモリアル公園のモニュメントをお参りしました。円筒形のモニュメントは、閖上を襲った9メートル近い津波の高さとのこと。見上げるばかりのその高さにしばし言葉を失いました。隣の神社もお参りし、9:30のバスで駅まで戻りました。

・ゆりあげ港朝市〔ゆりあげ港朝市協同組合〕
宮城県名取市閖上5丁目23-20
http://yuriageasaichi.com/

名取市図書館

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名取市図書館入口
3.11で建物に甚大な被害を被った名取市図書館は、代替の建物でサービスを行っていましたが、昨2018年12月に駅前の新館がオープンしました。館長のSさんとは2013年12月に知り合って以来、FBを通じて親しくさせていただいていましたので、楽しみな訪問となりました。駅からデッキで直結した複合施設の2階と3階にある図書館は9時開館ですが、入口入ってすぐのカフェと新聞・雑誌コーナーは、7:30から開いているそうです。

まずは3階へおもむき、ゆったりした書架の奥にある「名取の宝ばこ」と名付けられた情報発信コーナーへ向かいました。そこには郷土資料や震災関連の資料がいくつもの書架にたくさん配架されていました。連休中ですがどのコーナーにも利用者の姿がありました。写真を撮りたいとカウンターに申し出たら、2013年9月に知り合ったKさんがいらして、しばし会話が弾みました。2階に降りてSさんと再会、ここまでの工程は大変でしたでしょうと声をかけると、「まだまだこれからです」とのお返事。お元気そうな笑顔にこちらがエネルギーをいただきました。短時間でしたがぬくもりのある図書館の空気をたっぷり味わうことができました。

名取市図書館
宮城県名取市増田四丁目7-30
http://lib.city.natori.miyagi.jp/web/

・新・名取市図書館(宮城県)がオープン
〔NDLカレントアウェアネス 2018.12.19〕
http://current.ndl.go.jp/node/37261

小高にあるKAON COFFEE(香音珈琲)

10:37発の常磐線で次の目的地小高へ。小高の駅近くには、作家の柳美里さんが2018年にオープンした書店フルハウスがあるのです。しかしよく調べたら連休中はお休みとのことで、建物だけでも見てこようと思っていました。すると5月1日の東京新聞に「避難指示が2016年に解除された福島県南相馬市小高区にて、帰還した夫婦がコーヒー店をオープンさせた」という記事を夫が発見。これは行くしかないね、と旅程に加えました。

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Kaon Coffee
11:57小高着、駅前にコンビニも、あてにしていた食堂も見当たらず、それならとコーヒー店まで歩き始めました。市街地を抜けるとのどかな田園風景が広がり、鶯をはじめ小鳥や虫の鳴声のほか何も聞こえません。通った自動車はほんの数台。タンポポの綿帽子、紋白蝶、小川の流れなどを楽しみながら50分ほどで、コーヒーカップが描かれた建物が見えてきました。

ハムチーズトースト、ジャムトースト、自家製ミネストローネ、食後にコーヒーを美味しくいただきました。店内には若い方、年配の方、数組のお客さんが入れ替わり立ち替わり。ジャズが気持ちよく響く店内から外の景色を眺め、オーナーご夫婦と会話もはずみ、ゆったり過ごしました。同じ道を駅まで戻り、心地よい疲労感。

・KAON COFFEE(香音珈琲)
南相馬市小高区小屋木字障子口5ー2
営業日は金~月曜、営業時間は10時~16時
「ジャズやコーヒー、趣味生かし「喫茶店」:小高に若者集う場を」〔福島民友ニュース 2019年04月30日〕
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190430-373184.php

フルハウス
福島県南相馬市小高区東町1-10
https://odaka-fullhouse.jp/

常磐線を品川まで

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小高駅の路線図
小高発16:14の常磐線に乗車、2駅先の浪江で代行バスに乗り換え。「帰還困難区域を通るので窓は開けないで下さい」「イノシシなど野生動物が飛び出すことがあるので、急ブレーキにご注意ください」とアナウンス。ほぼ満席のバスは静かに出発、社内もほとんど話声は聞こえず。国道を走るうちに「これから先帰還困難区域」という赤い看板。国道沿いには草木が生い茂り民家はほとんどない代わりに、ガソリンスタンドや飲食店はいくつも連なるが、すべて無人。そのうち海側の木々の向こうにクレーンなどちらほら見えてくると、シャッターの音がしばし沈黙を破る。作業用の自動車と何台かすれ違い、30分ほどで富岡駅到着。不通区間常磐線の工事が進んでいるのがうかがえ、代行バスはあと1年くらいで解消されるらしい。

富岡からいわきまで普通電車、いわきで夕食後に19:18発の特急ひたちに乗り、21:54品川着。無事一泊二日の旅を終えました。車窓から、また歩きながら見た田園風景の中には、丁度田植えが終わったばかりの水田も確かにありましたが、ほとんどは休耕田であったのが、深く心に残りました。いろいろなことを感じ、考えた二日間でした。

2019東北行【第1日】須賀川から飯舘へ

今年の3.11夜の会話

夫:連休には東北へ行こうか。
私:あら、いいわねえ。
夫:どこか行きたいとこある?
私:飯舘村の山津見神社と、名取市図書館。
夫:(地図を見ながら)飯舘はずいぶん山奥だなあ。車じゃないと無理だ。
私:家から車で行くの?
夫:いや、現地でレンタカーを借りよう。

元鉄道少年の夫は旅程を作成

・初日は品川から新白河駅までJR在来線を乗り継いで行く
・そこでレンタカーを調達し、飯舘をめぐって福島駅で返す
・福島から仙台まで阿武隈急行に乗る
・翌日は閖上の朝市に寄ってから名取市図書館へ行く
・名取から常磐線で海沿いに南下して品川へ帰る。途中代行バスを使う
私は途中の須賀川と小高へ寄ることを提案、いろいろ情報収集に励みました。

5月3日(金)いよいよ出発

朝6:33に品川発、上野東京ライン東北本線)で宇都宮へ。乗り換えて那須塩原。今度は新幹線で一駅の新白河9:48着。駅前のトヨタレンタカーでアクアという小型のハイブリッド車を借りました。国道4号線を40分ほどで須賀川到着10:50。

須賀川市民交流センター tette

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須賀川 tette
今年の1月11日にオープンした須賀川市民交流センターは、東日本大震災で被災した総合福祉センターを再建し、市民交流、子育て支援などの機能を継承しつつ創造的復興を目指して作られた施設です。子どもも大人もたくさんの人々が集っている中、まずは5階の「円谷英二ミュージアム」をめざしました。須賀川出身の映画監督円谷英二の偉業を顕彰する博物館には、展示と共に沢山の本がトピックごとに配架されていました。どれも床に近い位置にあり、子どもたちがじっくり手に取って楽しめるようになっています。背表紙を眺めるだけで丁寧な選書がうかがえる書架でした。

3階と4階は図書館で、開放的なスペースに書架と閲覧席が設えてありました。2階の子育て支援センターには子どもライブラリーもあり、1階にも書架があって、建物全体に図書館が広がっているのがよくわかりました。どの階にも自動貸し出し機があって、オープンな運営コンセプトが伝わってきます。tetteのことはARGのメールマガジンで知ったのですが、事前にウェブサイトをじっくり拝見したところ、開館前から情報を随時公開し、愛称も公募して市民の中にコンセプトを共有していった状況がわかりました。この施設がどのように活かされていくのか楽しみです。

須賀川市民交流センター tette
福島県須賀川市中町4-1
https://s-tette.jp/

須賀川市民交流センターtette(福島県)がオープン〔NDLカレントアウェアネス 2019.1.17〕
http://current.ndl.go.jp/node/37397

いいたて村の道の駅 までい館

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までい館
須賀川を発って郡山の北で288号線へ入り、船引でランチ休憩。349号線を経て飯舘村を目指しました。3.11後に全村避難を強いられた飯舘村のことは、寺島英弥著『東日本大震災 希望の種をまく人びと』(明石書店、2013)で知りました。河北新報編集委員の寺島さんはFBで随時発信しておられるので、2013年に知り合って以来飯舘村の状況をしばしば読むことができました。避難指示解除準備区域の指定は2017年3月31日に解除され、その年8月12日には「いいたて村の道の駅 までい館」がオープンしています。「までい」とは相馬地方の方言で、手間暇かけて、丁寧に、大切に、という意味だそうです。寺島さんの本を読むと、飯舘村の人々がいかに「までい」な生活を作り上げてきたかがよくわかりました。

さていよいよ、までい館到着14:35。広々した敷地に横長平屋建ての建物がありました。天井の高い「までいホール」を中心に、軽食コーナー、直売コーナー、特産品コーナーなどが設置され、人々で賑わっています。コンビニのセブンイレブンも入っていて、地域の方々や旅行者の利便性が図られていました。特産品コーナーで『飯舘の女性たち』(Saga Design Seeds、2016)を見つけて購入。著者の「いいたてWing19」は、飯舘村が1989年から5年間実施した女性海外派遣事業「若妻の翼」の、第1回参加者19名で構成する団体です。この事業のことも寺島さんのレポートで読み、もっと詳しく知りたいと思っていたところでした。その他特産品など調達して、までい館を後にしました。

・いいたて村の道の駅 までい館
福島県相馬郡飯舘村深谷深谷前12-1
http://www.vill.iitate.fukushima.jp/site/kanko/1404.html
https://www.facebook.com/michinoeki.madeikan/

・福島、東北の被災地のいまを伝えたい|人と人をつなぐラボ|ローカルジャーナリスト寺島英弥
http://terashimahideya.com/

山津見神社のオオカミの天井絵

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山津見神社
来た道を少し戻ってから北へ進み、山の中をめぐって山津見神社15:10着。虎捕山(とらとりやま)の中腹にあるこの神社は1051年創建、山の神の使いであるオオカミを尊んでいます。3.11では無事だったものの、2013年の火災で社殿が焼失し、240枚に及ぶオオカミが描かれた天井絵も失われました。その絵の復元に東京藝術大学の学生たちが取り組み、2016年に全242枚が奉納されたのです。この顛末も寺島さんの記事で読んで以来、いつかその天井絵も見たいものだと思い続けていました。

参道を昇って社殿に参拝。中には一組のご夫婦がお参りの最中でしたが、他の参拝者はいませんでした。真新しい社殿の天井を見上げると、生き生きと描かれたたくさんのオオカミたちがいました。ゆっくりと絵を見つめ、信仰の深さ、ここに至るまでのたくさんの人々の努力に思いを馳せました。次にお札やお御籤などがある隣の部屋をのぞくと、福島県立美術館で2016年に開催された「復元天井絵」展の図録が置いてありました。そこには242枚全ての絵が掲載され、手分けして描いた20名ほどの学生たちの名前も記されていました。彼らは芸大保存修復日本画研究室の所属だそうで、中国や韓国からの留学生の名前もありました。丁寧かつ力強い取り組みに深く感動。

・山津見神社
福島県相馬郡飯舘村佐須虎捕266
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%B4%A5%E8%A6%8B%E7%A5%9E%E7%A4%BE_(%E9%A3%AF%E8%88%98%E6%9D%91)

・山津見神社オオカミ天井絵復元プロジェクト
https://yamatsumi-jinja.tumblr.com/

阿武隈急行で仙台へ

再びレンタカーに乗り込み、山を一気に下って1時間ほどで福島市着17:00。154キロ走ってガソリン代800円ちょっと。さて今度は阿武隈急行線阿武隈川沿いに仙台へ向かいます。乗った電車は途中の富野止まりで、次の電車は30分あとなので、無人駅の外で待つことに。鶯の鳴声に耳を澄ましていると、遠くの山際に夕日がどんどん落ち、空一杯に広がる夕焼け。実り多い一日が暮れました。

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阿武隈急行線富野駅

いわきの図書館・博物館を巡る旅(2009年3月)

 二〇〇九年三月七日土曜日朝八時五十分、東京駅八重洲南口バスターミナル八番に集合した八人の図書館探検メンバーは、いわき行きのバスに乗り込んで九時三十分の定刻に出発しました。昨日の土砂降りがうそのような好天に恵まれ、一路常磐道を北へ走ります。利根川を越え関東平野をまっしぐら、おしゃべりに興じているうちに、十二時過ぎ、いわき市到着。いわき在住で長年いわきの図書館振興に尽力しているTさんが迎えに来てくださっていて、すぐに昼食を予約した「海食遊膳ふくふく」へ向かいました。本来は冬の料理のアンコウ鍋を特別に準備してもらい、いわき名物「メヒカリ」の唐揚げと焼き物をおつまみに話がはずみました。コラーゲンたっぷりのアンコウにも舌鼓を打ちました。
「いわきにてメヒカリつまむ春の旅」

 外へ出てTさんの乗用車と路線バスに分乗し、いわき明星大学へ向かいました。十五分ほどで広大なキャンパスに到着。正門の真正面に立派な図書館の建物があり、職員のIさんが迎えてくださいました。図書館は隣の学習センターと繋がっていて、書庫と閲覧スペースがゆったりととられていました。市民にも開放されているそうで、春休み中でしたが何人もの利用者が机に向かっていました。Tさんが開館時から携わったという書架には、丁寧に構築された蔵書が明るい陽光のなかに並んでいました。ひろびろとした壁には沖縄の植物をデザインした大きな絵が何枚も掛けられていて、丁度よいアクセントになっていました。外はかなり強い風が吹いていましたが、閲覧室の中は別世界のおちつきでした(1) 。
 図書館の隣は二年前に創られた薬学部の校舎で、最先端の設備を見せていただきました。薬剤師の実習スペースや就職の面談練習室のスペースまでありました。またキャンパスの反対側にはガラスのピラミッド型をした温室があり、さまざまな薬草が育てられていました。温室はあいにく中に入ることができませんでしたが、まわりにも多種多彩な薬草が栽培されており、あれこれおしゃべりしながらしばし散策しました。
「三月の風キャンパスに吹き渡る」

 帰りはまたバスと車の二手に分かれて市内へ戻ります。駅前で降りると目の前に巨大な商業ビルがそびえたち、そのエスカレーターを四階まで登ると図書館の入り口がありました。ここが一昨年十月にオープンした、いわき市いわき総合図書館です。職員の方が四階と五階のフロア全体に広がる施設を案内してくださいました。開架書架のまわりの閲覧席は利用者で埋まり、平日でもなんと三千人も来館者があるそうです。事務室の中には巨大な自動出納書庫があり、本の大きさごとに分けられたボックスにランダムに蔵書が入れられていました。書庫の中をボックスが自動で走る様子は、廊下の窓から利用者も眺めることができます。Tさんは案内してくださった職員の方といっしょに、この図書館の実現のために長年力を尽くしてこられたそうで、「気がついたら二十五年かかりました」とおっしゃっていました。地域の中で着実に実績を積まれてきたTさんの足跡に一同大感激。先駆的な施設と多くの利用者に圧倒されながら図書館を後にしました(2) 。
「図書館に溢るゝ人や春の宵」

 参加メンバーの一人はここで帰京。次にレンタカーを一台調達しSさんが運転、Tさんの車と二台に分乗して湯本にある旅館古滝屋(ふるたきや)へ向かいました。創業三百十三年という老舗旅館ではゆったりと温泉につかり、ご主人差し入れのカニもたっぷりの夕食を味わい、遅くまで団欒のひと時を過ごしました(3) 。当初の予定では「フラガール」の舞台になったスパリゾートハワイアンズにも行くはずでしたが、時間切れで残念ながらパス(4) 。

 翌朝は一風呂浴びてから宿の裏手にある温泉神社を見学。朝食では名物「サンマのぽうぽう焼き」も味わいました。部屋でコーヒーを飲んでから出発、まずはすぐ隣の野口雨情記念童謡館に立ち寄りました。古滝屋のご主人がやってらっしゃるとのことで、湯本温泉にゆかりのある野口雨情の直筆書幅や童謡資料が所狭しと並べられていました。童謡のSPレコードとラッパ型蓄音機もあり、「青い眼の人形」と「七つの子」をかけてもらいました。入り口の外には菜の花が満開でした(5) 。
「古き歌菜花の家に響きけり」

 車に戻り、畑や藪の続く中を走って向かったのは、国宝「願成寺白水阿弥陀堂」。広い庭園の向こうの池を越えると、桧皮葺の阿弥陀堂が佇んでいました。靴を脱いで中へはいると若いご住職が丁度お話をされており、平安末期の阿弥陀像は明治期の廃仏毀釈も無事逃れて現在に至っているとのこと。白水とは平泉の泉の字を分字したそうです。極楽浄土に咲く花が描かれた天井画もありがたく拝んでまいりました(6) 。
「草萌ゆる中に白水阿弥陀堂

 さて次のスポットは常磐炭田の様子を伝える「いわき市石炭・化石館」。ここは六十五歳以上は無料というのでメンバーに確認すると、八人のうち五人が該当者で会計係を喜ばせました。化石や恐竜の展示を年配のボランティアガイドさんが説明してくだり、エレベーターで地下にもぐって往時の炭鉱の展示を見学しました。最初は手で掘っていた石炭を機械で掘るようになった経過や、夫婦で力を合わせていた様子、事務所や生活の有様など、実によくわかりました。外に出ると、昭和天皇が戦後行幸された時の記念碑も見ることができました。常磐炭田は一九七六年に閉山したそうです(7) 。
「八人中五人が無料のどかなり」「炭砿の跡に散りぬる桃の花」

 ここで二人のメンバーが別れて湯本駅に向かいました。残った六人は車でシーフードレストラン「メヒコ」へ。メキシコで修行されたという社長さん経営の店の真ん中は温室になっていて、なんとフラミンゴが二十匹ほど飼われていました。ピンクのフラミンゴを見ながら、名物のカニピラフやシーフードスパゲッティなどをゆっくり味わいました。店の前でKさんのカメラで記念撮影となり、一同フラミンゴよろしく片足をあげてパチリ(8) 。
 いよいよ最後の目的地、小名浜港へ向かいます。丁度港祭をやっていたので、ちょっと下車して海産物や海魚の水槽などを見学。「サンマをきれいに食べるコンテスト」など楽しいイベントの最中でした。すぐ先の海辺にそびえるガラスばりの巨大な建物が「アクアマリンふくしま」。二〇〇〇年に開館したこの福島県の施設は環境水族館という名前がついていて、さまざまな視点から海の姿を教えてくれるしくみになっています。小さな魚だけでなくアザラシ・セイウチ・トド・オットセイなど巨大な生き物の水槽もあり、ダイナミックな生態はいくら見ていても飽きませんでした。昨日味わったメヒカリや砂から顔を出しているチンアナゴのユーモラスな姿、そしてシーラカンスの生態調査も印象的でした(9) 。
「遠足の顔水槽に映りけり」

 おみやげを買いに寄ったのは水族館の隣の「いわき・ら・ら・ミュウ」と名づけられた施設で、海産物をあれこれ仕入れました(10) 。広い施設をうろうろしているうちにすこし時間をオーバーしたので、大急ぎでいわき市へ戻ってレンタカーを返却し、すっかりお世話になったTさんに別れを告げて高速バスを手配。帰りの便はかなり込んでいて、予定よりすこし遅くなりましたが、予想をはるかに越える有意義で密度の濃かった旅行の余韻をたっぷり味わいながら、帰路につきました。
「山笑ひバスは高速ひた走る」

(文中の句は全て筆者作です)

【脚注】
1) いわき明星大学図書館 http://www.iwakimu.ac.jp/library/
2) いわき市立図書館 https://library.city.iwaki.fukushima.jp/
3) 古滝屋 http://www.furutakiya.com/
4) スパリゾートハワイアンズ http://www.hawaiians.co.jp/
5) 野口雨情記念湯本温泉童謡館 http://www.douyoukan.com/
6) 白水阿弥陀堂境域(文化遺産オンライン) http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/190232
7) いわき市石炭・化石館 http://www.sekitankasekikan.or.jp/
8) シーフードレストラン メヒコ http://www.mehico.com/
9) アクアマリンふくしま https://www.aquamarine.or.jp/
10) いわき・ら・ら・ミュウ http://www.lalamew.jp/

初出:『ふぉーらむ』第6号(図書館サポートフォーラム、2009年9月)

■後日譚
 この旅行記は2009年に書いたものですので、ブログ掲載にあたり脚注のリンク先を確認しました。するとアドレスが変更になったところがいくつかありましたが、いずれも健在でした。どの施設も3.11を経てどうされたか気になっていましたので、何よりでした。
 

2019沖縄ツアー第3日:OISTと沖縄県立図書館

【第3日:2月5日(火)旧正月

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万座毛(まんざもう)
 三日目はまず恩納村のシンボル、万座毛を見学。そして一路OIST(沖縄科学技術大学院大学)を目指しました。OISTは2013年のARG主催ライブラリーキャンプで訪問しましたが、その時はまだ第1期生を受け入れて2年目でした。6年後の今回は、修了生が世界に羽ばたいている様子もうかがうことができました。学際的な研究室がガラス張りで外から見学でき、実験や議論の様子を見ることができます。蟻の研究者がいて「ヒアリ」が入らないよう以前から対応しているので、沖縄には一匹も侵入していないそうです。世界各国の研究者が沖縄の地で先端研究を続けているのを垣間見て、嬉しくまた誇らしく感じた次第です。
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OIST アリの研究室
 M准副学長といっしょに案内してくださったYさんは、2013年以来FBで親しくさせていただいています。Yさんはヴァイオリンを弾かれるので、音楽の話でしばしもりあがりました。その後すてきなカフェでランチ。そして再びAさん運転のレンタカーで那覇に向かいました。
 1910年開館の沖縄県立沖縄図書館に始まる県立図書館は、昨2018年12月に旭橋バスターミナル上の商業施設内に新装開館しました。建物3階にある入口を入ると、5階まで吹き抜けの空間が圧倒的な開放感で私たちを包んでくれました。バスターミナルに直結しているので、離島の利用者が気軽に立ち寄れ、借りた本は離島で返却できるそうです。
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沖縄県立図書館 「ウージを学ぶ」展示
 3階は子どもの読書活動推進エリアで、「ウージを学ぶ」という展示が目を引きました。「ウージ」とは沖縄の言葉で「サトウキビ」のことです。以前製糖業の歴史や奄美大島の歴史を調べた際に読んだ、エリザベス・アボット『砂糖の歴史』(河出書房新社、2011)も展示されていました。日経新聞連載で読んだ北方謙三の小説『望郷の道』では、主人公が初めて台湾に渡った時に、トラックの荷台からこぼれたサトウキビをかじり、製菓業を志します。この地に深く根ざしたサトウキビを子どもたちに伝える展示はすばらしいと思いました。
 4階はビジネス、参考資料、多文化エリアなど。5階は郷土資料のエリア。沖縄各地方の地域史コレクションがフロア一杯に広がっていました。戦前のものもあり、戦火をくぐって沖縄各地の人々が自らの歴史を綴り続けているエネルギーにしばし圧倒されました。
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沖縄県立図書館 「空飛ぶ図書館」
 そのほか巨大な自動化書庫、離島へ本を届ける「空飛ぶ図書館」の部屋など実に興味深い内容の見学でした。進化し続ける県立図書館の今後は目が離せないと感じました。
 ******
 その後レンタカーを返し、那覇空港で解散となりました。三日間それぞれに中身の濃い旅行でした。高野さん始め同行のみなさん、沖縄の皆さんに改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

■参考:
エリザベス・アボット『砂糖の歴史』〔Kadoさんのブログ 2017-03-03〕
http://lucyblog.hatenablog.com/entry/2017/03/03/193452

2019沖縄ツアー第2日:恩納村ウィキペディアタウン

【第2日:2月4日(月)立春
 二日目はいよいよウィキペディアタウンの本番です。私がウィキペディアの意義をきちんと認識したのは、NIIの大向一輝さんが書かれた『ウェブがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007)を読んでからです。この本では第3章「ウェブを形づくるしくみ」のなかで、「ブログ」「SNS」と並んで「集合知」が取り上げられています。仕事でブログを始めたのが2007年なので、タイムリーに出版されたこの本を隅々まで読んだのを覚えています。

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大向一輝『ウェブがわかる本』
 その後ブログとSNSは順次始めていましたが、ウィキペディアに本格的に取り組んだのは2016年からでした。ウィキペディアの編集を通じて地域の情報を世界に発信するウィキペディアタウンのことを知ったのもそのころです。まずはウィキペディア自体に詳しく書かれている編集の方法をじっくり独習したのち、丁度開催された「OpenGLAM Japan 博物館をひらく 東京工業大学博物館編」に参加し、ベテランのウィキペディアンの方々と知り合うことができました。そして少しずつ自分で新規ページを作成したり、既存ページに加筆したりする経験を積みました。
 2018年秋の図書館総合展では、「ウィキペディアOpenStreetMap編集の実際」に参加し、新たな情報を得ることができました。そうこうしているうちに高野一枝さんの恩納村ツアーを知り、早速参加させていただいた次第です。ツアー直前に発行されたLRG25号がウィキペディアタウン特集でしたので、もちろん購入して読んで行きました。
 当日はまず現地を歩くことから始まり、恩納村のさまざまなスポットを恩納村文化情報センターの方に案内していただきました。私は「山田城(グスク)」が担当でしたので、特にそこは興味深くお話をうかがいました。城自体は現在無いのですが、何百年も前の歴史がN課長や若き学芸員Nさんの口から生き生きと語られることに驚きました。
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恩納村文化情報センターにて
 午後はセンターにもどっていよいよ編集作業にかかりました。「山田城」グループはセンターのGさん、Iさん、ツアーからはHさんと私の4人組。本文はGさんとHさんが参考文献をあれこれひっくりかえしながら格闘していました。私とIさんはまず現地の写真を既存ページにアップするのに取り組みました。そのあとは参考文献の一覧を作成し、できたところから既存ページに追加していきました。なんとか時間内に一応の編集を終え、東京からZoomで参加していたRさんに「出典が不備」という注意書きの削除方法を教えていただいて一件落着。無事ウィキペディアタウンを終了することができました。
 夜の宴会では恩納村の方々と延々と懇親を深めたのは言うまでもありません。

2019沖縄ツアー第1日:摩文仁へ

 2月3日から5日まで、しゃっぴいこと高野一枝さんが主宰する沖縄恩納村ウィキペディア編集ツアーに参加しました。盛りだくさんのツアーでしたので、3回に分けて概要を記録しておきます。

【第1日:2月3日(日)節分】
 早朝京急で羽田へ。iPhoneでなく外の景色を眺めることにする。「節分の日の出拝みぬ車窓より」

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富士山と遠くの山々
 羽田発8:15スカイマークの便で沖縄へ。「白き峰連なる山の微笑みぬ」「雲間より沖縄の海うららかに」「春霞戦(いくさ)知る海しずかなり」
 11:10那覇空港着。ほかのメンバーと別れて一人で糸満市を目指す。ゆいレール(モノレール)で一駅の赤嶺で降り、40分ほどバスに揺られて糸満バスターミナル着。乗り継ぎバスを待つ間に近くの食堂で沖縄ソバのランチ。13時のバスで20分ほど、平和祈念堂入口のバス停下車、やっと摩文仁に着いた。
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摩文仁の海
 沖縄県平和祈念公園内には平和祈念堂ほかいくつかの施設があるが、目指すは平和の礎(いしじ)。2017年2月のニッポニカで、中村透作曲『交響絵図「摩文仁~白き風車よ~」』を演奏したので、その風景を確かめに来たのだ。タイトルの元になった比嘉美智子さんの短歌を思い出しながら園内を歩いた。

■比嘉美智子歌集『一天四海』(ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ 2017-02-05)
https://nipponica-vla3.hatenablog.com/entry/20170205/1486270047
「目眩く朝陽は礎に真対へり逆光の中の死者たちの舞」比嘉美智子

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平和の礎

 広場の向こうには絶壁の下に深い海と白い波。数知れぬ名前を刻んだ礎に海の風が吹きわたる。半円形に広がる礎には、県ごと、地域ごとに名前が白く刻まれている。少数だがアメリカやイギリスの礎もある。しかし大部分は沖縄の地名であり人名であった。すべての礎がきれいに手入れされているのがわかる。圧倒的な魂の存在に言葉を失う。

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白い風車
 帰路バス停の向こうに白い風車が見えた。例の風車に違いない。「悲しみも涙も昇天せしめむと摩文仁野に回る白き風車は 比嘉美智子」

 再びバスを乗り継ぎ那覇市内に戻る。旭橋からモノレールで牧志下車、国際通りを歩いて公設市場へ向かった。平日だが多くの観光客で賑わってる。旧正月前の賑わいだと後から知った。公設市場で高野さんたち一行と落ち合い、海ぶどうや豚肉料理など夕食の買い物をした。
 Aさん運転のレンタカーで一路恩納村へ。先着組とメッセンジャーでやり取りしながらの旅路はなかなか楽しい。走っている間にどんどん日が落ちて夕闇の中、ホテル到着。早速部屋で自炊の準備。手分けしてあっというまに御馳走が並んで宴会となった。

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沖縄の味
 沖縄の味をじっくり楽しんだ後、別室に移り校正大会。なんでも5月発売予定の本の校正とかで、分担して赤ペン片手に原稿とにらめっこした。1時間ほど格闘して元の部屋にもどると、明日のWikipediaTown の準備の最中だった。役割分担をじゃんけんで決めて終了、宴会の続きをして1日目は果てた。

■追記 (2019年2月9日)

 『摩文仁~白き風車よ~』を作曲された中村透先生が、2月7日に病気で亡くなられたと連絡ありました。中村先生は1946年北海道生まれ、国立音楽大学大学院作曲専攻を修了されて1975年から沖縄在住。琉球大学名誉教授、南城市文化センター・シュガーホール芸術監督を務められました。突然の訃報に接し言葉もありません。ご冥福をお祈りいたします。
 
□訃報・中村透 〔琉球新報 2019年2月7日〕
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-872364.html

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絵本とメルヘン
 明治学院大学図書館の貴重書コレクションの目録『絵本とメルヘン』を手に入れました。同図書館が所蔵する、169点234冊の「絵本とメルヘン・コレクション」の全書物をリスト化したものです。それぞれの表紙等の「画像集」、装丁や成立事情等を記した「詳細書誌」、画家や作家の「人名解説・索引」及び「書名リスト・索引」からなります。監修は同大学仏文科で長らく教鞭をとり、図書館長も務められた巌谷國士氏で、執筆は同大卒業生と大学院生があたり、図書館も全面的に協力してできあがったとのことです。
 監修者の「序」には、目録作成の経緯が詳細にまとめられており、構想から10年ほどをかけ丁寧に進められた作業がうかがえます。一点一点の資料がこのようにまとめられることで、より大きな文脈の中で生かされていく流れを深く感じました。

巌谷國士監修『絵本とメルヘン:明治学院大学図書館貴重書コレクション』
明治学院大学図書館、2018
147p、30㎝
目次:
 序 …4
 凡例 …8
 画像集 …9
 詳細書誌
  I 洋書挿絵本 …43
  II ちりめん本・和綴本 …109
  III 関連書・参考書 …122
 人名解説・索引 …129
 書名リスト・索引 …140
 後記 …146