Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

宮柊二の短歌

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 日本経済新聞2015年3月1日詩歌・教養欄の連載最終回の最後のところをメモしておきます。

宮柊二(4)戦場からの手紙:無名兵士の覚悟うたう(愛の顛末 / 梯久美子

 戦火をくぐり、おびたたしい死を見てきた柊二にとって、わが子の誕生はどんなにか嬉しい出来事だったろう。
 この翌月に戦争は終わった。柊二は昭和61年に74歳で没するまで、戦後短歌を文字通り牽引した。数多くの名歌を残したが、晩年にこんな歌を発表して話題を呼んだ。
《中国に兵なりし日の五カ年をしみじみ思う戦争は悪だ》
 まっすぐな詠みぶりに、体験の重みと、時を経ても褪せることのない実感がにじんでいる。兵士として戦場の生死を見定めようとした青年の日の覚悟は、最後まで太い背骨となって宮柊二の人生を貫いた。

東洋文庫のイスラーム展

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東洋文庫でやっているイスラーム展を観に行きました。会期は2015年1月10日~4月12日。いろいろな種類のコーラン、羊皮紙に書かれた契約書、アラビアから中央アジア、南アジア、東南アジア、中国、そして日本のイスラーム、と分かりやすく実物を展示し解説していました。図録があったので内容をメモしておきます。

東洋文庫ミュージアム企画展示 もっと知りたい!イスラーム http://toyo-bunko-museu.sub.jp/

もっと知りたい!『イスラーム / 東洋文庫
 東京 : 東洋文庫, 2015.1.10
 21cm ; 28p (時空をこえる本の旅 ; 9)
 ISBN: 9784809703225
目次
ごあいさつ …1
■本編
イスラーム」入門 …2
コーラン』とは? …4
1 コーラン …5
イスラーム …6
2 ハディース …6
3 ヴェラム製アラビア語契約文書 …7
4 オスマン帝国全覧 …8
5 エジプトの習慣と風俗 …9
イスラーム原理主義とは …10
6 マナール聖典注釈 …10
イスラームの広がりと多様性 …11
7 大旅行記 …11
イブン・バットゥータの旅とイスラームの世界的な広がり …12
中央アジアイスラーム …13
8 幸福になるための知恵(クタドゥグ・ビリグ) …13
9 テュルク諸語集成 …14
10 ロシア帝国服飾図鑑 …14
南アジアのイスラーム …15
11 シャー・ジャハーンの肖像
  (『8~18世紀ペルシア・インド・トルコのミニアチュール絵画』より)…15
東南アジアイスラーム …16
12 スジャラムラユ(マレー王統記) …17
13 東方諸国記 …18
14 アチェ人 …19
中国のイスラーム …20
15 回回原来 …21
16 回回風俗図 …22
17 相承図 …23
日本とイスラーム世界の出会い …24
18 続日本紀 …25
19 采覧異言 …25
20 輿地誌略 …26

                                  • -

■附録
 おもな参考文献 …27
 執筆者紹介 …28

承教寺の狛件

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 散歩の途中で見つけた、日蓮宗承教寺の入り口に鎮座する狛件(くだん)。狛犬にしてはずいぶん横長の図体で、犬というよりライオンみたい。顔は人面だし、いったいこれはなんだと思わず写真をとりました。帰って調べたら狛犬サイトにもちゃんと載っていました。

港区>承教寺(リンク切れ)
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www.komainu.org

戸越八幡神社の狛犬

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 戸越銀座商店街を散歩していたら近くに八幡様があったので、寄ってみました。江戸時代の狛犬があってびっくり。しかも有形文化財の指定が。狛犬の脇にあった立札には、次のように書かれていました。

品川区指定有形文化財
戸越八幡神社 石造狛犬(とごしはちまんじんじゃ せきぞうこまいぬ)

所在 戸越二丁目六番二十三号 戸越八幡神社
指定 昭和五十三年十一月二十二日(有形民俗第五号)

 この狛犬は、延享(えんきょう)三年(一七四六)に、戸越村の村民がお金を出し合って当社に奉納したもので、区内では最も古いものである。
 この頃、各村落には庚申講(こうしんこう)が結成されていたらしく、本村や平塚の庚申講が中心となって狛犬の造立(ぞうりゅう)が進められたことが銘文によってわかる。また、左右の台石の各三面に刻まれた二百七名の人名によって、当時の戸越村を構成していた村民のほとんどの氏名が把握でき、大変貴重なものである。

 平成八年三月三十一日 品川区教育委員会

 確かに台石にはたくさんの人名が刻まれていました。年月を経ていて私にはほとんど判読できませんが、貴重な記録であることはよくわかりました。
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 参道入り口には別の一対もありました。こちらも明治6年(1872)と古く、抱えている子どもと玉も味がありました。
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 狛犬のサイトにきれいな画像があったのでリンクしておきます。

八幡神社 品川区戸越2-6-23(平成19年3月18日)
http://5.pro.tok2.com/~tetsuyosie/tokyo/

大向一輝『ウェブがわかる本』

f:id:lucyblog:20150102114942j:plain Facebookを開いたら尊敬する大向一輝さんがブログを更新されていた。

2015年のごあいさつ 〔@i2kのブログ〕
http://i2k.hatenablog.com/entry/2015/01/01/021555

 思えばウェブとのつきあいで参考にしたのが、大向さんの『ウェブがわかる本』だった。2007年の出版だがその年の夏にブログを手がけることになり、この本がどこかで紹介されていたので入手して読んだ。そこで指摘されていた(1)ブログ、(2)SNS、(3)集合知、という3つの概念の意義を知ったことで、ウェブの世界に臆せず入れた。今朝本棚からとりだして改めて拾い読みしてみたが、今でもまったく色褪せない力強さで背中を押してくれる。出版社のサイトに紹介があったので載せておきたい。

ウェブがわかる本 〔岩波書店
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/jr/toku/0704/500562.html

 2010年3月ご本人に初めて会ったとき、Facebookの功罪についてうかがってみた。「もちろんいいところとわるいところがありますが、いいところのほうがほんのちょっと多いと思っています」というお答えだった。

『やっちゃ場伝』

f:id:lucyblog:20150101184146j:plain 築地市場を見に行ったら急に市場のことに興味がわき、手元にあった『やっちゃ場伝』を読んでみました。これは神田にあった青物市場の歴史を、競り人である代々の伊勢長の目を通して語ったもの。江戸時代初期に神田多町あたりにつくられた青物市場が、昭和の初めに秋葉原に移転し、平成を迎えるころまでの内容。

やっちゃ場伝:競り人伊勢長日誌 / 神田川菜翁
 東京 : 小江戸青物研究連, 1993
 229p ; 20cm
 注記: 発売: 農山漁村文化協会 (東京)
 目次:
第1話 一声千両…9
 元禄十五年師走、雪の神田市場…10
 伊勢から来た、多町やっちゃ場初代たち…12
 幕府青物役所より、初物売り日のお達し…17
 市場に大八車が登場した年…19
 江戸町人文化は八辻ヶ原やっちゃ場から…21
 熱海の温泉湯と相州みかん船、春日局…23
 紀文みかんの一番競り…25
 年末みかん、そっくり買い占めた奈良屋茂左衛門…30
第2話 一富士、二鷹、三茄子…37
 浅間山の噴火で、やっちゃ場灰だらけ…38
 大飢饉を救った、サツマ芋…42
 西瓜賭博は御禁制…43
 堂島米取引会所の通信法を使った、奈良屋茂左衛門の「光信号」…45
 桜吹雪、遠山金四郎時代の市場…50
 天保のやっちゃ場社員教育講習会と、女小円朝つる女の市場講談…53
 市場符丁と隠語…57
 初夢と、茄子の名産地…62
第3話 大根一本、千六本…69
 桃栗三年、柿八年、青梅の里は平将門の里…70
 車押し屋と“やま”廻り…74
 将軍の脚気を治した、練馬大根…77
 とうへんぼくの土手南瓜…79
 大内内蔵助はジャガ芋を食べていた…82
 味噌汁の実を繊蘿蔔(センルオポウ)に刻む…85
第4話 乃木大将とみかん…89
 江戸から東京へ…90
 神田市場の紀州、京大阪見学旅行…92
 「奈良の大仏さん」秘話…94
 大阪市場の始まり…96
 江戸(多町)、浪速(天満)市場における市場の仕組みと取引方法…99
 大阪市場の符丁さまざま…101
 伝統の<家訓五ヶ条>と薄利多売の大阪商法…105
 大塩平八郎の乱と野菜一揆…107
 明治の頃の青物の種類…112
 明治御維新以後のやっちゃ場は…114
 二十世紀初頭の「野菜」需要の変化…116
 神田川の下肥え船…124
 乃木大将と蜜柑…126
 野菜と果物は、何に効く…130
第5話 りんご可愛や…135
 昔恋しい銀座の柳とともに、市場移転す…136
 サンキストレモンと洋食革命…140
 昭和初期の食生活…143
 本邦初の、青物航空機宣伝…148
 終戦時、屋根穴だらけの神田市場…151
 統制切符の野菜配給、一週間でサツマ芋二本…154
 戦後期の青物値段…159
 日本初のジューサーは、戦闘機のプロペラで…163
 マッキントッシュとニュートンの法則…165
 戦後十年、昭和三十年代前後の市場事情とやっちゃ場の殉職者…168
 メートル法の施行で大変わりした市場…172
 七人の侍たちとみかん名産地…180
第6話 青物千一夜…187
 大仏殿青物講座…188
 柿食えば、体健康(すこやか)、法隆寺…196
 平安遷都以来、千年の歴史「京都朱雀市」…198
 京都の市場符丁…200
 関東市場の符丁のすべて…202
 小江戸青物研究連、発足す…208
 八百屋に語りつがれる八百屋の“八百長”…210
 この病気にはこの果物を…213
 処女懐胎する不思議な果物は…216
 マスクメロンは麝香の香…217
 元の黙阿弥売り…219
 玉葱がアメリカの歴史を変えた?…221
 大石“東下り”の一席…224
おわりに―“商遊学”とは、やっちゃ場学…227

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