Kadoさんのブログ

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宮柊二の短歌

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 日本経済新聞2015年3月1日詩歌・教養欄の連載最終回の最後のところをメモしておきます。

宮柊二(4)戦場からの手紙:無名兵士の覚悟うたう(愛の顛末 / 梯久美子

 戦火をくぐり、おびたたしい死を見てきた柊二にとって、わが子の誕生はどんなにか嬉しい出来事だったろう。
 この翌月に戦争は終わった。柊二は昭和61年に74歳で没するまで、戦後短歌を文字通り牽引した。数多くの名歌を残したが、晩年にこんな歌を発表して話題を呼んだ。
《中国に兵なりし日の五カ年をしみじみ思う戦争は悪だ》
 まっすぐな詠みぶりに、体験の重みと、時を経ても褪せることのない実感がにじんでいる。兵士として戦場の生死を見定めようとした青年の日の覚悟は、最後まで太い背骨となって宮柊二の人生を貫いた。