Kadoさんのブログ

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『亡びゆく言語を話す最後の人々』

 昨日読み終わった本、『亡びゆく言語を話す最後の人々』K・デイヴィッド・ハリソン著、川島満重子訳(原書房、2013)。ウィキペディアには250種類の言語の記事が書かれているそうだが、それは世界7000種類の言語のわずか3.6%に過ぎないそうだ。書き記す文字を持たない言語もたくさんある。その共同体では人間の知恵が口承で伝えられてきた。現代のグローバル社会の中で多くの言語共同体が姿を消そうとしている。そこに育まれてきた人間の知恵と共に。
 「第10章 言語を救うために」には次のように書かれている。失われつつある言語を救うために、「研究者はじめ外部の人間は手を貸すことはできるが、言語を生き延びさせようという決断は、そしてその決断を実行に移すために必要となる困難な作業のほとんどは、その言語を所有し育てていく共同体が担うべきものだ。」(p321)
 そのためにこれまで実際に採り入れられた戦略があげられている。

  1. 秘密を保持し、公開せず、制限を加える。
  2. 公開し、紹介し、自由に与える。
  3. 口承の伝統を守り、話し言葉のみにする。
  4. 文字にして書き残す。
  5. 盛りたて、宣伝し、誇りを示す。
  6. 新語を補充し、活気を与える。
  7. 新たなテクノロジーを採り入れる。
  8. 記録に残す。

 どの戦略を採るかはそれぞれの共同体が判断することだが、すでにFacebookを立ち上げ広くコミュニケーションをとろうとしている共同体があることが紹介されていた。米国ミシガン州のアニシナーベ族、Anishinaabemowin。

原書房のサイト:亡びゆく言語を話す最後の人々 http://www.harashobo.co.jp/new/shinkan.cgi?mode=1&isbn=04907-3

日経書評2013/6/16付: http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56250970V10C13A6MZC001/

NDLサーチ:http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024334563-00