Kadoさんのブログ

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『ヤマトグループ100年史』

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ヤマトグループ100年史』ヤマトホールディングス株式会社 2020年

先日ヤマトグループ歴史館から宅急便で、『ヤマトグループ100年史』が届きました。前職で私は主に社史に関する業務に携わっていましたが、2011年に東日本大震災が発生したあと、自分に何ができるだろうと考えました。被災地に出向いて瓦礫を運ぶなどはとてもできそうもなく、しかし日本の企業が明治期から出して来た社史ならたくさん身近にありました。そこで「社史に見る災害と復興」というテーマで情報発信を始めました。

仕事でほぼ毎日出していたブログの記事に、社史の中に見つけた関東大震災をはじめとする災害関連の記事を載せていきました。2011年4月22日に出した帝国ホテルの記事から、2012年3月14日の三越の記事まで、30件以上のブログを出すことができました。その中でわかってきたことをまとめ、2012年3月にトロントで開催された米国アジア学会で、"The Great Kanto Earthquake as Seen in Shashi"(社史に見る関東大震災)と題した発表を行いました。その後、米国ピッツバーグ大学発行の電子ジャーナル『社史』に、発表内容を掲載することになりました。掲載に当り発表時に受けたコメントから、「東日本大震災に於ける企業の社会貢献」についての考察を追加しました。改めて調べてみると、ソフトバンクユニクロヤマト運輸など多くの企業が様々な支援活動をしていたことがわかり、その中からヤマト運輸の取り組みについて追記したのです。その結びとして、「この取り組みについては、次に出る社史に詳細が書かれるだろう」と書きました。

『100年史』は700ページ近い大部なもので、重さも2kg以上ある立派なものでした。本文は1919年から2019年までの100年間を編年体で綴った沿革編と、定款や宅急便の推移などをまとめた資料編、そして年表と索引で構成されていました。目次は詳細で、それだけで100年の歩みをたどることができます。私がまずページを繰ったのは、第11章第2節「東日本大震災ヤマトグループ」でした。

その節は「1.東日本大震災の発生」として、その時なにが起こったかをまとめ、続いて「2.ヤマトグループの復興支援プロジェクト」として、5つの項目が挙げられていました。私が取り上げたのはその中で「宅急便ひとつに、希望をひとついれて」と名付けられた、宅急便1つあたり10円の寄付金を積み立てるものでした。しかしそれ以外にも、ヤマト運輸は様々な取り組みをしていたことが、簡潔にまとめられて記載されていました。

被災地ではヤマト運輸の社員も多く被災者となり、避難所で救援物資の配送が滞っている場に居合わせた社員が、その円滑な配送に進んで取り組んだことが当時報道されました。これについて、「被災地の社員によるこうした自発的な行動は、社訓にある「ヤマトは我なり」を見事に体現したものだった」と社史にありました。なるほど、社訓が社員ひとりひとりに充分理解され共有されているのだなあと思いました。

昨年からのコロナ禍で世界は騒然としていますが、私は多くの社史を見て日本の企業が様々な困難を乗り越えてきたのを知りましたので、必ずやこのコロナ禍も乗り越えられると信じています。

■参考