コロナ禍での緊急事態宣言の中、16人の芸術家が参加した「電話展示」を聴きました。指定された電話番号に電話すると、簡単な紹介メッセージのあとに、一人3分程度の「展示」が流れてきます。音楽ばかりかと思ったらさにあらず、大半は日本語による「語り」でした。バックに街の音や自然の音が聞こえてくるものもありましたが、多くは声だけでした。
内容は、近況を語る人、自分の専門領域の事柄に触れる人、自作の短歌や古典作品を朗読する人、なぞなぞをかける人など様々でした。紹介してくれた坂本光太さんは、前に聴いたグルボカール「エシャンジェ」みたいな感じでのチューバを聴かせてくれました。他に電子音楽やギターと声の人や、騒音としか思えないものとか、それぞれに楽しい時間でした。
この時代を生きる若者たちのメッセージを実に見事に切り取ってコラージュした展示だと感じました。緊急事態宣言が解除されたら、電話番号が消えていました。
Exhibition 'Emergency Call'
2020.4.30-5.25 (日本国内の緊急事態宣言解除)
on air from 2020.4.30 to 5.25 (termination of the state of emergency in Japan)
050-XXXX-XXXX
自分が安全だと思う時間・場所でお電話ください
Please call this number whenever and wherever you think yourself(ves) secure.
- 増田義基(サウンド・デザイナー)
- 山本悠(イラストレーター)とU(U)
- 佐藤朋子(アーティスト)
- 20mシャトルラン※
- 岡嶋隆佑(博士(哲学))
- 永田康祐(アーティスト)
- 樋口恭介(SF作家)
- 西村梨緒葉(美術家)
- 岡千穂(音楽家)/エリック・サティ(作曲家)
- 大道寺梨乃(俳優)
- 関悦史(俳人)/日和下駄(朗読)
- 坂本光太(チューバ奏者)
- 大和田俊(アーティスト)
- 石油ファンヒーター(家電)/砂山太一(建築家)
- 三上春海(歌人)
- 角銅真実(音楽家)
- 大岩雄典(美術家 本展企画)
45分05秒
※5月11日に「ラジオ体操第一」同音源を取り下げ、以上のように再構成しました。この点について木野彩子氏また作家のみなさまに、ご迷惑をおかけした点陳謝いたします。
公開前日に、展示の趣旨と広報に関する意見の不一致から、予定していた木野氏の作品の展示中止を決定しました。その変更を承け、公開から5/11まで当該作品のモチーフであった「ラジオ体操第一」を一部に挿入していました。
しかし、「ラジオ体操第一」をどのように扱うか考え、作品制作していた木野氏にたいし、使用について事前の確認や合意がありませんでした。申し訳ありませんでした。当該の場所には、全体の内容を鑑み「20mシャトルラン」を置きました。あらためまして、木野氏また作家のみなさまに、ご迷惑をおかけした旨、陳謝いたします。