Kadoさんのブログ

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「柳美里トークイベントin日比谷」を聴く

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フルハウスクラウドファンディング案内

作家の柳美里さんが2015年から移り住んだ福島県で、昨年オープンさせた本屋フルハウス。5月に行った時は開いてなかったので、このイベントを楽しみに聴きに来ました。

柳美里さんはもともと福島といろいろ縁があったそうで、3.11の後4月に現地を訪れ、翌2012年3月から南相馬市臨時災害放送局で毎週1回トーク番組を始められました。地元の方二人一組から話を聞く、という番組で、5年間で300組600人から様々な話を聞かれたそうです。息子さんが中学を卒業した2015年に、鎌倉から小高の北にある原町に引っ越し。息子さんは地元の高校へ入学。その後縁あって2017年に小高へ引っ越し、2018年4月にフルハウス開店。お話を伺うと本当に様々な縁がつながっていて、そのひとつひとつに真摯に取り組んでらっしゃるのがわかりました。

本屋にしたのは、若いころから会社に勤めて仕事をしたことは一度もなく、劇作家として仕事をしてきた自分にできるのは、本に関わる「本屋」だろう、と考えたから。また高校生と関わる中で演劇の指導も始めることになり、若いころの作品である『静物画』の上演後、高校生たちが解散を嘆き、東京公演を訴えたこと、そしてそれを実現したことも話されました。更に地元小高のみなさんたちと『町の形見』という作品を作り上げたというお話も深く心に残りました。

フルハウスという場所を復興のひとつの拠点にしたいという高い志、それを持続して実行していく地に足の着いた活動、そして常に優しく暖かい眼差しと語り口。柳美里さんの著作は若いころ何冊か読み、そのエネルギーに圧倒されたのを覚えています。お会いしたのは初めてですが、そのエネルギーがいったいこのかわいらしい外見のどこに潜んでいるのかと思いました。ひとつひとつの言葉を十分に吟味してから発してらっしゃるのもよくわかりました。その言葉の力を信じてらっしゃるのでしょう。それを的確に引き出す聞き手・仲俣暁生さんの寄り添い方も素敵でした。

フルハウスの施設を充実させるという今回のクラウドファンディングは「気持ち」程度の参加をしていましたが、今日のお話を聞いてもっと本格的にかかわろう、と思いました。ご案内くださった山根麻衣子さんにも深く御礼申し上げます。

■参考