Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

2019東北行【第2日】名取から小高へ

5月4日(土)ゆりあげ港朝市

翌日は仙台駅7:26の電車で4駅目の名取へ。8:00発の乗合バス「なとりん号」で15分ほど、震災メモリアル公園下車、目の前に閖上港が広がります。地元の方の車で駐車場はいっぱい、朝市が大いににぎわっていました。震災後カナダ政府の支援で、カナダ産木材により建設されたメイプル館にて、新鮮な海鮮丼の朝食をいただきました。

閖上 震災メモリアル公園のモニュメント
海産物を購入してバス停へ戻り、震災メモリアル公園のモニュメントをお参りしました。円筒形のモニュメントは、閖上を襲った9メートル近い津波の高さとのこと。見上げるばかりのその高さにしばし言葉を失いました。隣の神社もお参りし、9:30のバスで駅まで戻りました。

・ゆりあげ港朝市〔ゆりあげ港朝市協同組合〕
宮城県名取市閖上5丁目23-20
http://yuriageasaichi.com/

名取市図書館

名取市図書館入口
3.11で建物に甚大な被害を被った名取市図書館は、代替の建物でサービスを行っていましたが、昨2018年12月に駅前の新館がオープンしました。館長のSさんとは2013年12月に知り合って以来、FBを通じて親しくさせていただいていましたので、楽しみな訪問となりました。駅からデッキで直結した複合施設の2階と3階にある図書館は9時開館ですが、入口入ってすぐのカフェと新聞・雑誌コーナーは、7:30から開いているそうです。

まずは3階へおもむき、ゆったりした書架の奥にある「名取の宝ばこ」と名付けられた情報発信コーナーへ向かいました。そこには郷土資料や震災関連の資料がいくつもの書架にたくさん配架されていました。連休中ですがどのコーナーにも利用者の姿がありました。写真を撮りたいとカウンターに申し出たら、2013年9月に知り合ったKさんがいらして、しばし会話が弾みました。2階に降りてSさんと再会、ここまでの工程は大変でしたでしょうと声をかけると、「まだまだこれからです」とのお返事。お元気そうな笑顔にこちらがエネルギーをいただきました。短時間でしたがぬくもりのある図書館の空気をたっぷり味わうことができました。

名取市図書館
宮城県名取市増田四丁目7-30
http://lib.city.natori.miyagi.jp/web/

・新・名取市図書館(宮城県)がオープン
〔NDLカレントアウェアネス 2018.12.19〕
http://current.ndl.go.jp/node/37261

小高にあるKAON COFFEE(香音珈琲)

10:37発の常磐線で次の目的地小高へ。小高の駅近くには、作家の柳美里さんが2018年にオープンした書店フルハウスがあるのです。しかしよく調べたら連休中はお休みとのことで、建物だけでも見てこようと思っていました。すると5月1日の東京新聞に「避難指示が2016年に解除された福島県南相馬市小高区にて、帰還した夫婦がコーヒー店をオープンさせた」という記事を夫が発見。これは行くしかないね、と旅程に加えました。

Kaon Coffee
11:57小高着、駅前にコンビニも、あてにしていた食堂も見当たらず、それならとコーヒー店まで歩き始めました。市街地を抜けるとのどかな田園風景が広がり、鶯をはじめ小鳥や虫の鳴声のほか何も聞こえません。通った自動車はほんの数台。タンポポの綿帽子、紋白蝶、小川の流れなどを楽しみながら50分ほどで、コーヒーカップが描かれた建物が見えてきました。

ハムチーズトースト、ジャムトースト、自家製ミネストローネ、食後にコーヒーを美味しくいただきました。店内には若い方、年配の方、数組のお客さんが入れ替わり立ち替わり。ジャズが気持ちよく響く店内から外の景色を眺め、オーナーご夫婦と会話もはずみ、ゆったり過ごしました。同じ道を駅まで戻り、心地よい疲労感。

・KAON COFFEE(香音珈琲)
南相馬市小高区小屋木字障子口5ー2
営業日は金~月曜、営業時間は10時~16時
「ジャズやコーヒー、趣味生かし「喫茶店」:小高に若者集う場を」〔福島民友ニュース 2019年04月30日〕
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190430-373184.php

フルハウス
福島県南相馬市小高区東町1-10
https://odaka-fullhouse.jp/

常磐線を品川まで

小高駅の路線図
小高発16:14の常磐線に乗車、2駅先の浪江で代行バスに乗り換え。「帰還困難区域を通るので窓は開けないで下さい」「イノシシなど野生動物が飛び出すことがあるので、急ブレーキにご注意ください」とアナウンス。ほぼ満席のバスは静かに出発、社内もほとんど話声は聞こえず。国道を走るうちに「これから先帰還困難区域」という赤い看板。国道沿いには草木が生い茂り民家はほとんどない代わりに、ガソリンスタンドや飲食店はいくつも連なるが、すべて無人。そのうち海側の木々の向こうにクレーンなどちらほら見えてくると、シャッターの音がしばし沈黙を破る。作業用の自動車と何台かすれ違い、30分ほどで富岡駅到着。不通区間常磐線の工事が進んでいるのがうかがえ、代行バスはあと1年くらいで解消されるらしい。

富岡からいわきまで普通電車、いわきで夕食後に19:18発の特急ひたちに乗り、21:54品川着。無事一泊二日の旅を終えました。車窓から、また歩きながら見た田園風景の中には、丁度田植えが終わったばかりの水田も確かにありましたが、ほとんどは休耕田であったのが、深く心に残りました。いろいろなことを感じ、考えた二日間でした。