Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

磯田道史『天災から日本史を読みなおす』を読む

 『武士の家計簿』で一躍名をあげた磯田道史さんの、『天災から日本史を読みなおす:先人に学ぶ防災』(中公新書、2014)を読んだ。4年も前の著作だが全く知らなかったのは不覚であった。もっともこれは朝日新聞の連載が初出だそうで、朝日は読んでいないし、磯田さんはテレビにしばしば登場して有名なのも、テレビをほとんど見ない私が気が付く術はなかったとしか言いようがない。それにしても東日本大震災以降、災害に関する文書を調べるのに浜松に転職されたというのには驚いた。そして日本各地の災害記録を記した古文書を縦横に読み解いてまとめたという本書は、実に示唆に富んだ内容だった。日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したというだけあって、読者を引きつける筆の運びが心地よかった。
 東日本大震災の後、自分にできることは何か考えた末、「社史に見る災害と復興」をテーマに多くの社史を渉猟し、随時ブログにまとめて公開した。そこから得た情報をアメリカのアジア学会で発表する機会にも恵まれた。その後社史の情報は「渋沢社史データベース」として公開したので、たとえば「水害」を検索すると1742年の関東地方の水害についての社史データなどがヒットする。私自身は退職して担当を離れたが、若いスタッフが引き継いでくれている。日本列島の防災対策に、このデータベースをぜひ活用してもらえればと思う。

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