Kadoさんのブログ

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茨城史料ネットの洗浄作業に参加

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 2017年9月14日(木)、茨城史料ネット主催の「関東・東北豪雨被災資料集中洗浄・修復作業」に参加した。豪雨といっても今年でなく2015年9月ので、被災した江戸時代からの民間文書が対象だった。会場は茨城大学水戸キャンパスなので、午前中品川から日暮里(9:15発)経由で常磐線普通電車に乗り水戸へ向かう(11:21着、2,268円)。丁度バスが来ていたので20分ほどで大学に着いた。学食で昼食を済ませ、集合場所の人文社会科学部C205教室へ行く。
 午前中の作業を終えて休憩中のメンバーが迎えて下さった。主催者の茨城史料ネット・添田仁先生を中心に、学部生と大学院生など10名ほどの参加者だった。ボランティアだと年配者ばかりを想像していたが、先生始め若い方ばかりでびっくりした。教室には乾燥・整形の済んだ資料が1点ずつクリアファイルに入れられずらりと並んでいた。中身は救済した猪瀬家資料とのこと。
 13時過ぎに始まった午後最初の作業は、ばらばらなファイルを資料ごとにまとめて段ボールにはさみ、薄(うす=薄葉紙)で縛って箱にいれるという作業。段ボールには中の資料番号をマジックと鉛筆で書きこんでおく。私は中身に慣れていないので、薄を細長く切っていく作業を担当した。
 次はいよいよ洗浄作業で、対象資料を用意して外へ出て図書館脇のスペースへ移動する。支給の布手袋とビニール手袋、マスクを付けてスタンバイ。机に置かれた四角いプラスチックのテンバコ(桶)に純水を入れ、発泡スチロールのビート版を浮かべる。その上に網(網戸のか)を置き、洗浄する文書を丁寧に置く。いっしょにある付箋は、水をちょっとつけて机の脇へ置く。水を付けるのは風で飛ばないためとのこと。こういう細かいノウハウの蓄積が大切。網をもう1枚資料の上に置き、水に浸していく。網ごと裏返して又浸しよく洗い、刷毛で中心から外側になぞっていく。
 終わったら脇に置いたセイムタオル(吸水マット)に網ごと移し、畳んだセイムタオルで上からも吸水。それから網を丁寧にはずし、不織紙をのせて裏返す。もう1枚の網も丁寧にはがし、付箋をのせてもう1枚の不織紙で挟む。これを段ボール+濾紙の上にのせ、上に濾紙と段ボールを重ねていく。
 こうした作業を2人1組になって、途中休憩をはさんで16時半まで次々にこなしていった。原資料を扱うのは緊張するが、失敗しそうになっても経験豊かなメンバーの方たちが随時フォローしてくださった。匂いがきついこともあって屋外作業と言われたが、たいして匂いは感じなかった。被災直後はかなり強烈に匂ったらしい。また蚊がしょっちゅう来るので防虫剤がしばしば登場した。それでも屋外作業は冬季にはできないので、夏期集中作業になるとのこと。
 途中で見えた代表の高橋修先生にもご挨拶した。終了後は資料と道具をそれぞれ倉庫などへ片付けるが、最初から最後まで手際よい手順で皆自主的に作業しているのに感心した。また使用した道具類は全てホームセンターで入手できるものばかりだそうで、レスキューの際入手可能なものについて東日本大震災以来のノウハウの蓄積を認識した。
 教室へ戻って17時半前に解散。バスで水戸駅へ出て常磐線に乗り21時帰宅。初心者でも少しは役に立てたかなと思う反面、若い方たちのペースを乱さなかったか気になった。しかし、こういう作業は若者だけでなく年配者こそもっと参加したいものだとつくづく思った。

いただいた主な資料

  • 身近な文化財・歴史資料を救う、活かす、甦らせる:茨城史料ネットの活動紹介パンフレット(茨城史料ネット、2014)
  • 被災した水濡れ史料の救済課程 / 東北大学災害科学国際研究所 天野真志 ((1)現状記録、(2)-30°で冷凍保管、(3)真空凍結乾燥機により乾燥、(4)現状記録&解体、(5)洗浄または簡易補修、(6)乾燥&整形)→今回は(6)と(5)を作業した)
  • 作業(1) 洗浄する被災資料の解体・記録の手引き / 茨城史料ネット、20170823
  • 関東・東北豪雨被災資集中洗浄・修復作業:これまでの経緯 / 茨城史料ネット、20170823
  • 関東・東北豪雨の水損文書に刻まれた治水の景観:猪瀬太右衛門家と「惣囲堤」 / 茨城史料ネット 添田