Kadoさんのブログ

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松居友『手をつなごうよ』

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 松居友さんの本、教文館で入手して一気に読んでしまいました。1998年にフィリピンのミンダナオ島に渡り、2002年にMCL(ミンダナオ子ども図書館)を設立されてからの15年の軌跡。ずっと「ミンダナオの風」という機関誌を送っていただいていたので概要は知っていましたが、改めてその全体像が実によくわかりました。ミンダナオという土地の実情に接し、避難民の子どもたちに読み語りをしたい、という動機で始めた図書館活動というだけでも大きく心に響きましたが、何より私が感動するのは次の点です。イスラム教徒とキリスト教徒と先住民族の子どもたちを分け隔てなく接し、お互いの文化を理解し尊重する共同生活を営んでいること。そして十分な教育のために必要な設備を整え、伐採により荒れた土地に植林活動を進めていること。いったいどこからこうしたエネルギーが湧いてくるのでしょうか。

手をつなごうよ : フィリピン・ミンダナオ子ども図書館 : 日本にいちばん近いイスラム紛争地域での活動 / 松居友
 東京 : 彩流社, 2016
 175p ; 22㎝
 ISBN: 9784779122231
目次:
はじめに …6
第一章 ミンダナオ子ども図書館の子どもたち …11
1 おかえりなさーーーい! …12
2 小学生から大学生まで600人 …17
3 子どもたちは、本棚から自由に絵本を取りだすと …23
4 料理、洗濯、庭づくり …26
イスラム教徒、キリスト教徒、先住民族がいっしょに生活 …32
第二章 ミンダナオ島ってどんなところ? …39
1 ジャングルの山とワニのいる湿原 …40
2 峠をくだるとキダパワンの町 …44
3 さらにその先のリグアサン湿原 …48
4 この世の天国 …50
5 先進国意識の「上から目線」 …53
6 ミンダナオに来たきっかけ …56
7 生活が大変なのは、山に住んでいる先住民 …60
8 ミンダナオは、フィリピンのいちばん南の島 …62
9 ミンダナオの人々 …64
第三章 ぼくが図書館をはじめたきっかけ …69
1 ミンダナオでは、ときどき戦闘が起こる …70
2 コタバトにぬける国道は、戦争など想像できない平和な風景 …73
3 広大なリグアサン湿原 …75
4 見わたすかぎり地平線まで避難民 …76
5 隣人をほうっておけないでしょう …78
6 この川のナマズのスープを食べますか …85
7 ここで読み語りをしたい …89
第四章 いざ、ミンダナオ子ども図書館の開設 …93
1 捨てられた石が、すみの親石になった …94
2 うれしい再会 …97
3 ミンダナオ子ども図書館の出発 …105
4 法人資格を得たきっかけは …106
5 基幹をなすのが読み語り …111
6 子どもたちを、なぜ学校にいかせたかったか …117
7 薬も買えない …120
8 避難民の救済 …126
9 ミンダナオには、日本人が住んでいた …131
10 保育所と学校建設 …134
11 ゴムの木の植林 …139
第五章 生きる力ってなんだろう …145
1 神聖な場所 …146
2 見えない世界を信じきって生きている人々 …150
3 むこう側の者が聞いているから …153
4 リーダーの役割は …157
5 死にそうになっても? …159
6 生きる力ってなんだろう …164
7 友情と愛、それが不可能を可能にする …168
あとがき …174

彩流社サイト
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2223-1.html