中野京子『怖い絵』を読み終わる。ヨオロッパの文化遺産を久しぶりに堪能。参考文献をみたら堀田善衛『美しきもの見し人は』が入っていて、おもわずうなずいてしまった。堀田の本は1975年の刷を持っているので、たぶんその時期に読んだ。その後朝日選書の文庫本が1995年に出たのでそれも買って読み直した。文庫の方はなぜか手元に見当たらないので、2冊の写真を載せておく。
怖い絵 / 中野京子(角川書店, 2013)264p (角川文庫)
目次:
まえがき…7
作品1 ラ・トゥール『いかさま師』…12
作品2 ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』…24
作品3 ティントレット『受胎告知』…36
作品4 ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』…46
作品5 ブロンツィーノ『愛の寓意』…56
作品6 ブリューゲル『絞首台のかささぎ』…66
作品7 クノップフ『見捨てられた街』…76
作品8 ボッティチェリ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』…86
作品9 ホガース『グラハム家の子どもたち』…98
作品10 ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』…110
作品11 ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』…122
作品12 アルテミジア・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』…134
作品13 ムンク『思春期』…146
作品14 ライト・オブ・ダービー『空気ポンプの実験』…156
作品15 ホルバイン『ヘンリー八世像』…168
作品16 ジョルジョーネ『老婆の肖像』…180
作品17 ルドン『キュクロプス』…194
作品18 コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』…204
作品19 レーピン『イワン雷帝とその息子』…216
作品20 ゴッホ『自画像』…226
作品21 ジェリコー『メデューズ号の筏』…238
作品22 グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』…248
解説 / 逢坂剛…260
参考文献…265
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堀田善衛(1918-1998)の本には、タイトルの元になったプラーテンの詩『トリスタン』を元のドイツ語でタイプ打ちした紙がはさまっていた。ロマン派についての独文科の講義で紹介された詩を自分でタイプ打ちしたもの。ヨーロッパのトリスタン伝説はワーグナーの楽劇になり、トーマス・マンの短編『トリスタン』に現れ、長篇『魔の山』のモチーフとなった。
美しきもの見し人は / 堀田善衛(新潮社, 1969)334p
目次:
序…15
- アルハンブラ宮殿…18
- ガウディのお寺…27
- 天壇をめぐって…50
- 移民族交渉について…63
- アフリカの影…76
- 黙示録について…89
- Fete galante ワットオの黄昏…111
- ヴェラスケスの仕事場に私の派遣したスパイ…125
- 楽園追放 アダムとイヴ…146
- ヴェネツィア画派の栄枯盛衰について…158
- アルビにて 陸上軍艦とロオトレック…172
- 美し、フランス La douce france…185
- 間奏楽 人と馬…205
- クロード・ロラン 泰西名画について…217
- 二つのドイツ…229
- 一つの極限について フランシスコ・デ・スルバラン…249
- 夜の王国、あるいは乱世の画家 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール…262
- モナ・リザには眉がない…275
- 肖像画 対話あるいは弁証法について…288
- 常識のために 絵の具の話…308
- Ave Maria 受胎告知画…320
あとがき…332