Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

エリザベス・アボット『砂糖の歴史』

出版されてすぐ入手したものの読む機会を逸していたこの砂糖の本、奄美大島の歴史に触れてサトウキビに俄然興味がわき、一気に読んでしまいました。カナダの歴史学者が綴った紀元前から始まる甘味料の足跡ですが、本書の大半は大航海時代以降の奴隷制の歴史…

「発達障害をめぐる19の疑問」

児童精神科医の知人が雑誌に執筆。ジャパンマシニスト社の『Chio』(ち・お)という雑誌の114号(2017年1月)で、「発達障害をめぐる19の疑問」に6人の児童精神科医・心理士が答える特集です。目次は次の通りで、とてもわかりやすい内容でした。 特集・こど…

島尾敏雄と奄美図書館(続)

島尾敏雄とヤポネシアについて調べるために借りた本『島尾敏雄とミホ : 沖縄・九州』の中に、島尾と図書館に関する文が二つ載っていました。 作家活動と図書館運営 : 奄美大島における島尾敏雄の場合 / 早野喜久江 1.はじめに 2.島尾敏雄が目指した図書館 …

島尾敏雄と奄美図書館

小説家・島尾敏雄(1917-1986)は横浜生まれですが、戦時中特攻隊員として奄美諸島の加計呂麻島で出陣を待つ間に終戦となりました。島で出会ったミホと結婚し、神戸や東京での作家生活の後再び奄美に渡って約20年間暮らしました。その間1958年から1975年まで…

『難民問題』

墓田桂著『難民問題:イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題』2016.9.25(中公新書 2394) 目次 はしがき 第1章 難民とはなにか 1 歴史の中で その紀元/ダマスカスからニュー・イングランドまで/ナンセン高等弁務官の任命/国際的な人道活動の萌芽/戦間…

『大分県の百年』

『大分県の百年』豊田寛三ほか著 山川出版社 1986 大分に旅行するに当たり、近くの図書館で借りた本。付箋をつけた場所をメモ。 p28:松方正義、養育館、生産会所 p76:富岡製糸場に女工派遣 p80:福沢諭吉 p105:大分銀行 p142:佐賀関精錬所 p160:図書館…

松居友『手をつなごうよ』

松居友さんの本、教文館で入手して一気に読んでしまいました。1998年にフィリピンのミンダナオ島に渡り、2002年にMCL(ミンダナオ子ども図書館)を設立されてからの15年の軌跡。ずっと「ミンダナオの風」という機関誌を送っていただいていたので概要は知って…

ベルリンの国立図書館の自筆楽譜

ベルリンの国立図書館の自筆楽譜 ウンター・デン・リンデンに面したプロイセン国立図書館には、ドイツ国内の手稿本や美術書などの貴重なコレクションが集められていた。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンといった有名な作曲家たちの自筆楽譜もそのひとつ…

末盛千枝子『人生に大切なことはすべて絵本から教わった』(現代企画室、2010)

絵本編集者の末盛千枝子さんの本。代官山の会員制図書室ヒルサイドライブラリーで、2008年から翌年にかけ10回にわたり行われたセミナーの記録を編集したもの。毎回のテーマに沿った絵本が何冊も紹介され、上質なブックトークを聴いている心地よさだった。さ…

アンドリッチ『ドリナの橋』

イヴォ・アンドリッチ著、松谷健二訳『ドリナの橋』(恒文社、1972)を読んだ。バルカン半島のセルビアとボスニアの間を流れるドリナ川に16世紀に架けられた石の橋の、4世紀のわたる物語である。16世紀当時はオスマン・トルコ帝国の時代で、ボスニア出身でオ…

大江健三郎の本

2010年に芥川也寸志(1925-1989)のオペラ『ヒロシマのオルフェ』(1960/67)を演奏した際、テキストの著者である大江健三郎(1935-)の本を初めて手に取り読んでみた。芥川賞をとった『飼育』など初期の短編いくつかと、最新作の『水死』。T.S.エリオットに…

中野京子『怖い絵』と堀田善衛『美しきもの見し人は』

中野京子『怖い絵』を読み終わる。ヨオロッパの文化遺産を久しぶりに堪能。参考文献をみたら堀田善衛『美しきもの見し人は』が入っていて、おもわずうなずいてしまった。堀田の本は1975年の刷を持っているので、たぶんその時期に読んだ。その後朝日選書の文…

ウーラントの詩「ハーラルト」

上智大学ドイツ文学論集に寄稿した文が、機関リポジトリで読めることがわかったので、リンクをつけておきます。ダンディの交響詩『魔の森』の元になった詩です。ウーラントの詩『ハーラルト』を翻訳して http://repository.cc.sophia.ac.jp/dspace/handle/12…

東洋文庫のイスラーム展

東洋文庫でやっているイスラーム展を観に行きました。会期は2015年1月10日~4月12日。いろいろな種類のコーラン、羊皮紙に書かれた契約書、アラビアから中央アジア、南アジア、東南アジア、中国、そして日本のイスラーム、と分かりやすく実物を展示し解説し…

大向一輝『ウェブがわかる本』

Facebookを開いたら尊敬する大向一輝さんがブログを更新されていた。 2015年のごあいさつ 〔@i2kのブログ〕 http://i2k.hatenablog.com/entry/2015/01/01/021555 思えばウェブとのつきあいで参考にしたのが、大向さんの『ウェブがわかる本』だった。2007年の…

『やっちゃ場伝』

築地市場を見に行ったら急に市場のことに興味がわき、手元にあった『やっちゃ場伝』を読んでみました。これは神田にあった青物市場の歴史を、競り人である代々の伊勢長の目を通して語ったもの。江戸時代初期に神田多町あたりにつくられた青物市場が、昭和の…

中川ひろたかの本

子どもの歌のシンガー・ソングライター中川ひろたかさんの本。 『中川ひろたかグラフィティ:歌・子ども・絵本の25年』(旬報社、2003) 『ピーマンBOX:中川ひろたか博覧会』(講談社、2007) 最初の本は自伝的エッセー。本の間に2003年6月5日の東京新聞の…

イスラムについての本

本日8月24日(日)日本経済新聞読書欄コラム「今を読み解く」は、「溶解始まる中東の秩序:歴史探る深い思索必要」と題して次の書籍を紹介していた。中東で現在進行中の変化をとらえ、「こうした時代の根幹を揺るがすような動きを理解するために求められてい…

河合隼雄、柳田邦男、松居直の本

心理学者河合隼雄の本は、子どもたちが小さかった頃あれこれと読みました。岩波新書の『子どもの宇宙』は特に印象深く、「子どもと秘密」の章から『クローディアの秘密』を知り、世界が広がりました。子どもの頃読みたかったとつくづく思い、近くの中学での…

『薔薇の名前』と『百年の孤独』

ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』(河島英昭訳、東京創元社、1990)の上下2冊を読んだのは、手元の版が1991年のものなので、その頃であったらしいです。宗教論争に関する部分は難しくてほとんどお手上げでしたが、殺人事件の謎解きにはどんどん引き込まれ…

阿部謹也の本

阿部謹也(あべ・きんや、1935-2006)の本を初めて読んだのは『中世を旅する人びと』が最初だった。手元の本は1982年の15刷だが、「ティル・オイレンシュピーゲル」の章があるので、R.シュトラウスの同名の交響詩をそのころ演奏したことも、本を手に取った動…

佐藤優の本

これまでに読んだ佐藤優の本を出版年順にリストアップしておきます。どれも刺激的でしたが、『獄中記』が圧巻でした。 『国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社、2005.03) 『自壊する帝国』(新潮社、2006.05) 『獄中記』(岩波書店、2006.1…

米原万里の本

ロシア語同時通訳者として名を馳せた米原万里(よねはら・まり、1950-2006)の本は何冊か読みましたが、手元にあったのは次の2冊。 『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川書店、2001) 『打ちのめされるようなすごい本』(文芸春秋、2006) 真っ赤な表紙の…

ユン・チアンの本

夏休みに入り、蔵書を端から整理していると、ユン・チアンの本がでてきました。『ワイルド・スワン』と『マオ』、両方とも上下2巻ずつの大部の作品ですが、一気に読んだのを思い出しました。 『ワイルド・スワン』上・下(土屋京子訳、講談社、1993)は1996…

中村哲『天、共に在り:アフガニスタン三十年の闘い』を読む

アフガニスタンで1600本の井戸を掘った医師として著名な中村哲(なかむら・てつ、1946~)さんの本。お名前は聞いていたが、読んでみて驚くことの連続だった。ひと月ほど前に、いくつかの精神的葛藤を抱えながら読了したが、極めて充実した読後感だった。 天…

『評伝野上弥生子』を読む

岩橋邦枝『評伝野上彌生子:迷路を抜けて森へ』(新潮社、2011)を読んだ。野上弥生子(1885-1985)は生涯現役の作家として長篇小説『迷路』(1948)、『秀吉と利休』(1964)、『森』(未完、1985)他多くの作品を残した。同じく小説家の岩橋邦枝(1934-)…

『文化を育むノルウェーの図書館』

オスロ大学図書館のマグヌスセン矢部さんが書いてらっしゃるので思わず読んでしまいました。マグヌスセンさんとは2006年のEAJRSヴェニスで知り合いました。そのときは日本の捕鯨に関する本がオスロにある、というお話をうかがった記憶があります。日本から遠…

鎌倉幸子『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』を読む

2012年10月のライブラリーキャンプで知り合った鎌倉さんは、とびぬけてバイタリティーに溢れる人、という印象でした。今月でた鎌倉さんの本を読んだら、「人の心によりそう」ってこういうことなんだ、ということがよくわかりました。「いわてを走る移動図書…

池内紀『消えた国 追われた人々』:東プロシアの旅

2日前の新聞で「ドイツのノーベル賞作家ギュンター・グラス氏、引退」という記事を読んだ。そのときはああそうかと思っただけだったが、たまたま昨日から読み始め今日読み終わった『消えた国追われた人々』は、まさにそのギュンター・グラス作品が出発点とな…

西垣通著『集合知とは何か』

西垣通著『集合知とは何か』を読む。基礎情報学の視点からネット時代の「知」のゆくえを見据えたもの。統計学や人工知能の話はちょっと難しかったが、いくつか興味深かったことをメモしておきたい。 著者は小説家平野啓一郎の『私とは何か』からの知見として…

『亡びゆく言語を話す最後の人々』

昨日読み終わった本、『亡びゆく言語を話す最後の人々』K・デイヴィッド・ハリソン著、川島満重子訳(原書房、2013)。ウィキペディアには250種類の言語の記事が書かれているそうだが、それは世界7000種類の言語のわずか3.6%に過ぎないそうだ。書き記す文…