Kadoさんのブログ

日々のあれこれを綴ります

『黒部・底方の声:黒三ダムと朝鮮人』

■黒部・底方(そこい)の声:黒三ダムと朝鮮人 / 堀江節子、此川純子、内田すえの 富山:桂書房、1992年12月 308p 目次: はじめに 1章 黒部川第三発電所の建設 / 此川純子 1 黒部との出会い…2 2 彼らはなぜ黒部へやってきたのか…12 3 黒部川第三発電所…

『索引 ~の歴史』を読む

デニス・ダンカン『索引 ~の歴史』光文社、2023年本の巻末にある「索引」の歴史の本。欧米の書物につけられた索引の歴史だが、第6章以降は現代の状況にどんどんつながる話ばかりで興味が尽きない。索引家協会についても記載が多くあり、そしてもちろんこの…

ドラッカー『非営利組織の経営』を読む

ドラッカー『非営利組織の警衛』ダイヤモンド社、2007年ウィキメディア財団やウィキメディア運動について考えていたら、それはピーター・ドラッカーの『非営利組織の経営』に通じますね、と指摘を受けました。早速図書館で借りてきて目を通して見ました。原…

O.スリヴィンスキー『戦争語彙集』を読む

O.スリヴィンスキー『戦争語彙集』岩波書店、2023ウクライナの詩人オスタップ・スリヴィンスキー作、ロバート・キャンベル訳著『戦争語彙集』を読みました。岩波書店から2023年12月22日発売の本です。1978年ウクライナ西部の都市リヴィウに生まれたスリヴィ…

『スーフィズムとは何か』を読む

スーフィズムとは何か:イスラーム神秘主義の修行道 / 山本直輝 集英社、2023年 222p (集英社新書) 目次: 序章 イスラーム神秘主義とは何か? …13 第1章 学問としてのスーフィズム …27 第2章 師匠と弟子:スーフィズムの学びのネットワーク …37 第3章 西…

『依存症と人類』を読む

『依存症と人類』みすず書房依存症と人類 : われわれはアルコール・薬物と共存できるのか / カール・エリック・フィッシャー [著], 松本俊彦 監訳, 小田嶋由美子 訳 みすず書房, 2023.4 xiii, 344, 83p ; 20cm ISBN 978-4-622-09602-3 目次: イントロダクシ…

『AI 2041』を読む

『AI 2041』文藝春秋、2022AIが活躍する2041年の世界について、世界各地を舞台にした10の物語でSF作家が描き、その背景をグーグル中国元社長のAI専門家がわかりやすく解説。10の物語と解説を読み、AIとは何か、AIが作り出す世界とはどういうものか、そして人…

『ネット情報におぼれない学び方』を読む

梅澤貴典『ネット情報におぼれない学び方』梅澤貴典さんが2月に出されて話題になっていた岩波ジュニア新書を読みました。若者向けに書かれていますが、どの世代の人にとっても役立つ内容と思いました。私にとっても、知識としては知っていることばかりでし…

はじめての絵本10冊セット

銀座の教文館書店9階にある児童書専門店「ナルニア国」では、出産祝い用の絵本セットを販売しています。その内容をメモしておきます。 教文館・ナルニア国 はじめての絵本10冊セット 『くっついた』三浦太郎 作・絵 (こぐま社, 2005) 『ママだいすき』まど…

『地球にステイ! : 多国籍アンソロジー詩集』を読む

『地球にステイ』詩人四元康祐は、2020年にもパンデミック下の詩人のアンソロジーを編んでいました。こちらは2020年9月には出版されています。出版社クオンの社長金承福(キムスンボク)が、コロナ禍をテーマにした世界各国の詩人の作品を集めて緊急出版した…

『月の光がクジラの背中を洗うとき』を読む

『月の光がクジラの背中を洗うとき』新型コロナウィルスが猛威を振るった2020年4月から8月にかけて、世界48か国100名の詩人が短い詩を電子メールのリレーでやりとりし、一篇の長詩を完成させました。そこに韓国の詩人がはいっていなかったので、韓国の8人の…

『世界を動かした日本の銀』を読む

『世界を動かした日本の銀』新聞の書評にひかれて『世界を動かした日本の銀』を読みました。島根県にある石見(いわみ)銀山の歴史的意義と現在の課題を多方面から語った、2022年に開催されたシンポジウムの記録です。16世紀に本格的採掘が始まった石見銀山…

『雨の言葉:ローゼ・アウスレンダー詩集』を読む

『雨の言葉:ローゼ・アウスレンダー詩集』詩人ローゼ・アウスレンダーを知ったのは、日経新聞連載コラム「詩探しの旅」でした。詩人の四元康祐が、母語を使えなかった詩人として紹介していたのです。ウィキペディアをみると項目はあるもののごくわずかで出…

『小さなまちの奇跡の図書館』を読む

猪谷千香『小さなまちの奇跡の図書館』鹿児島県の南端にある指宿市の図書館を紹介した『小さなまちの奇跡の図書館』を読みました。猪谷千香さんの心のこもった力作に、何度もうなずきながらの読書でした。指宿市の図書館についてはいろいろな機会に話題にな…

『銀むつクライシス』を読む

G・ブルース・ネクト『銀むつクライシス』海洋資源がテーマの『銀むつクライシス』という本、2008年に出版されおそらく書評を読んですぐ買ったものの、手に取る機会の無いまま15年も立ってしまいました。その間2回も引っ越したのに手放さずにおいたのは、何…

メアリ・ノリス『カンマの女王』を読む

メアリ・ノリス『カンマの女王』『猫の本棚』の校正をしていたころ、『ニューヨーカー』の校正者が書いたという『カンマの女王』という本の書評を読み、思わず買ってしまいました。結局その時は読まず、図書館雑誌2023年6月号の「図書館員のおすすめ本」に都…

『ヌマヌマ』を読む

『ヌマヌマ』(2023年9月12日筆者撮影)ロシア文学者沼野充義と沼野恭子が1981年3月15日に結成した2人組ユニット「ヌマヌマ」が、40年にわたる現代ロシア文学を舞台に走ってきた仕事の集大成として、12人の作家の作品を翻訳し、ユニット名をタイトルにした…

『日本語大博物館』を読む

紀田順一郎『日本語大博物館』ジャストシステム、1994小林昌樹『調べる技術』を読んでいたら、日本語の排列規則について「そもそも日本語の表記体系が複雑怪奇──重層性と言うべきか──なのが原因と思うが、それについては、紀田順一郎『日本語大博物館:悪魔…

スヴェン・ベッカート『綿の帝国』を読む

スヴェン・ベッカート『綿の帝国』アメリカの研究者が書いた『綿の帝国』の書評を読み、図書館から借りてきました。以前エリザベス・アボットの『砂糖の歴史』を読んでずいぶん世界史の理解が進んだので、そうした期待もありました。綿花生産と紡績業の軌跡…

『読んでいない本について堂々と語る方法』を読む

『読んでない本について堂々と語る方法』筑摩書房 2008『読んでいない本について堂々と語る方法』という本を知り図書館で借りて斜めにざっと読みましたが、なかなか面白かったけど結局世の中に出ている本を全て読むことは出来ないし、それは私だけでなく誰で…

最相葉月『証し』を読む

最相葉月『証し』(KADOKAWA 2022)日本全国135人のキリスト教信者へのインタビューをまとめた最相葉月『証し』の書評を読んだのは、2023年2月18日の日本経済新聞読書欄でした。すぐに近くの図書館に閲覧申し込みをしましたが、予約者が多く手元に来たのは4…

濱田美枝子・岩田真治『祈り』を読む

濱田美枝子・岩田真治『祈り』藤原書店 2021年歌人五島美代子について調べていて、この本に出合いました。第1部はNHKディレクター岩田真治による、美智子さまが折々に詠まれた御歌を紹介したもので、第2部が美智子さまと五島美代子の、和歌を通じた魂の交…

『傷つきやすいアメリカの大学生たち』を読む

『傷つきやすいアメリカの大学生たち』新聞書評で知ったこの本、図書館で借りて読んで納得し、Wikipedia英語版にあったので翻訳して出したら「新しい記事」に選ばれました。他のウィキペディアンの関心を呼んだのは嬉しいです。読書で付箋を貼った所をメモし…

ホセ・アンドレス『島を救ったキッチン』を読む

ホセ・アンドレス『島を救ったキッチン』2017年9月にハリケーン・マリアがカリブ海のプエルトリコを襲い、壊滅的な被害をもたらした。アメリカで複数の高級レストランを経営していたシェフのホセ・アンドレスは直ちにプエルトリコへ向い、数々の困難を乗り越…

尹伊桑『傷ついた龍』を読む

『傷ついた龍』未来社1981(版元ドットコムより)朝鮮に生まれ、ドイツに帰化した作曲家尹伊桑(ユン・イサン、1917-1995)が、自らの生涯と作品について語った本。インタビューアーのルイーゼ・リンザーはドイツの作家で、最初の夫ホルスト・ギュンター・シ…

海外図書館の日本古典籍コレクション

『書物学』第18巻勉誠出版発売の雑誌『書物学』第18巻は「蔵書はめぐる:海外図書館の日本古典籍コレクション」。特集の内容をメモしておきます。 書物学 = Bibliology / 勉誠 企画・編集. 18巻. 2020年7月. 98, 20p 内容 個人蔵書のゆくえ / 横山學…2 「東…

山崎佳代子と四元康祐

山崎佳代子『そこから青い闇がささやき』合唱作品の楽譜の目録をとっていて詩人の山崎佳代子を知りました。詩のテキストは『薔薇、見知らぬ国』という詩集からとられており、解説には「詩人の山崎佳代子はベオグラード在住。空爆下のベオグラードで、戦火に…

『抵抗と適応のポリトナリテ』

田崎直美『抵抗と適応のポリトナリテ』占領下のフランスの音楽家たちの軌跡を追った労作。1939年第二次世界大戦勃発、1940年6月パリ陥落、7月ヴィシー政府成立。そして1944年8月パリ解放までの間の、ヴィシー政権下での音楽家たち。ヴィシー政府とは何か…

今橋映子『近代日本の美術思想:美術批評家岩村透とその時代』

今橋映子『近代日本の美術思想』比較文学・比較文化の研究者で東大教授今橋映子さんの『近代日本の美術思想:美術批評家岩村透とその時代. 上、下』(白水社、2021年)を手に取りました。上下2巻で本文1327ページ、巻末資料176ページ、合計1503ページの大著…

『Horizont:都立九段高校演劇部舞台写真集』

Horizont:都立九段高校演劇部舞台写真集東京都立九段高等学校(戦前は第一東京市立中学校、東京都立九段中学校)演劇部の、1927年から1987年までの60年に渡る活動をまとめた写真集。年代順に置かれた公演の舞台写真に添えて、タイトル、作者、台詞抜粋、ス…